冬、はじめました。


ひだまりであったまってるのら猫たちの丸い背中に、早くも冬のはじまりを感じてしまいました。ナナ・クマスキーさんはクマとスキーをするのをたのしみにしているのだろうけど、クマにもムーミン谷にもさむがりさんにも、もうすぐ、おやすみなさいの冬がくるのです。


それでは、「冬、はじめました。」を、それぞれに、はじめてほしいです。





  • 阿ト理恵
  • 2014/11/14 (Fri) 23:09:07
冬、はじめました。
空地に集まる幽霊たちの言葉に風が震えて雑草が揺れました。にくしみと言う赤い実のなる植物を素手で摘み、そのまま握り潰した手のひらは真っ赤に染まって、ビルの隙間から差す光に当てると震えるほど鮮やかでした。そのままあなたの手を握って、もしかしたら、もうこのまま離れることなんてないんじゃないかと思っていましたが、あなたの吐く息はいつも空白で雨が降れば、そこに黒い染みをいくつも作っていました。わたしがその空白を陽の光に透かして見たときにはもう穴があいていて、わたしの目を濡らすのです。わたしは目を閉じると、まだ光の子どもが白目を剥いて、愛されることを望んでいました。わたしは太陽を見ることで、光の子どもに黒い目を与えました。すると黒い目の内にポロックの絵の具がいまだ乾いていないような色彩と潤いを湛えて、雨上がりの雑草に冷たい露をいくつもつけました。そして滴る水滴のなかで光の子どもは両手を重ねて眠りこんでしまいました。あなた、白い息を吐く、あなた。あなたとは冬のことだったかもしれません。あなたは死んだふりをして、そのまま永い眠りについてしまうから、人は街をうつむきながら歩き、振り返るのもしれない。わたしにはいつも躓いてしまう廊下がありました。大きな窓があり、そこからはイチョウ並木が見えます。その先には校庭が広がっていました。校庭ではいつも幽霊たちがスポーツをしていた。足のない幽霊たちがマントをひるがえし、小さな渦を作っていました。ルールはあるのかないのか分かりませんでしたが、皆、その顔を隠すためにマントを大きくひるがえしているように見えました。わたしは躓いて、小指が痛かった。その痛み。今日が冬じゃなかったら。今日が冬じゃなかったら。そんなことをいつも思っていました。窓に息を吐く。白くなる。そこにどんな言葉を書こうか考えているうちに、もう、痛みもあなたのことも忘れてしまって。ただ雪が降り、ぜんぶ真っ白になってしまえばいいのになと思って、また、廊下を歩いた。
  • sample
  • 2014/11/15 (Sat) 01:41:55
冬、はじめました。


11月はきみの季節。白い息はく青梅街道。新宿はどこも
匂いがなくて、牛乳瓶の底にいるみたい。紀伊國屋、ピ
カデリー、凍った横顔。私がやさしい白熊なら、たとえ
ばきみにこう言っていたと思うよ。


私の毛皮は暖かくて、さみしい人を包むのもたやすいけ
れどそうしてあげない。寒さをしのぐ方法はこの貧しい
国にもあって、たとえば火をおこすこと、マフラーを編
むこと、じゃがいものスープをつくること。コートを盗
む以外は何だってしていい、きみには権利がある、ぎむ
がある。

きみの冬はきみで始めて。私はここで待っているから。
電車に乗って、お金を稼いで、疲れちゃったら帰ってお
いで。そのときは抱きしめてあげる。ありあまるほどの
財産もあるね、分厚い本のページをめくれば、私たちの
屋根に雪ふりつむ。


  • ナナ・クマスキー
  • 2014/11/15 (Sat) 13:22:25
冬、はじめました。
冬という言葉を入力したら
いくつかの絵文字が出てきた
雪だるま、雪の結晶、スキー、スノボー、温泉
そのどれもが自分には馴染みのないものだった

あれは昨年のことだったか
僕は一片の叙情詩を書いた紙切れを片手に
すっかり雪の積もった病院の敷地を歩いていた

あれからもうすぐ一年が経とうとしている
(はっとして手を見ると そこには叙情詩ではなく血が握られていた)
僕が病院で過ごした歳月は流れ
もはや原型をとどめてはいない

雪が降る
しんしんしんしん雪が降る
今はただ
それだけだ
  • はかいし
  • MAIL
  • 2014/11/15 (Sat) 17:19:43
冬、はじめました。
・冬、終わりました

「いやこれからですよ」「だって寒いんだもん」「夏にもいってましたよね「あー早く冷え
ねぇかなぁ「アイスコーヒ嫌いなんだよね「こたつでみかんくいたいわぁー「俺は着込めれ
ばなんとかなる冬の方が好きだ」」」」なんとか」「というテンプレである」「冷やし中華
始めました」「雪見だいふくみたいに」「今世紀最大の寒波が毎年日本列島を襲うのだった」
「冬になると様々なイベントが盛りだくさんですが」「皆さん彼女いますか?彼氏いますか
?」「僕にはいないですねぇ~」「というと会場が氷に凍りつく、いやむしろ歓喜として張
り付いていく輩と、暖かい温もりに包まれた男と女の考えられる組み合わせのイルミネーシ
ョンに、二分化させられたのだった」(タタン!)「しかし台風はクリスマス大晦日初詣バレ
ンタイン卒業式と、桜が、我が身を赤く染め上げ、我を吐血させ、無様にぢめんを這い蹲せ
しめるまで、その間断なき、いや寒暖なき攻撃を!」「先輩後ろ、邪魔。」「お待たせいた
しました冷やし中華です」

「というやり取りを男二人で、この急激に寒くなった、町の、居酒屋でグダグダやっている
とだな、俺って人生棒に振ってないかとか思うんだよ。多分ここで冬に冷やし中華くっても
さ、タイトルから適当に連想したんやろが!とか、多分年とってから、若い頃はよく寒い冬
の日に冷やし中華を食べにいったものだった。私は他の人間たちが寒い冬の日のアイスを食
べるのは可愛いとしておきながら、冷やし中華を食べるのは馬鹿だ、みたいなのがいやだっ
た。くらいにしかかけないやん」「ごちそうさまでした」「えぇ~~~~」

「なんだなんだつれないなぁ君!」「さっきからうるせぇです。ぐちぐちぐちぐち」「じゃぁ
なに話します?」「・・・それはそれで面倒ですね」「んだべ?」「明日の晩飯どうします」
(季節は春、季節は冬、しかしスーパーに売られているものは年中、かわらなかった)「そうだ
なぁ、やっぱそれでも、寒いから鍋にしよっか」

「だが、こうして会話だけ抜き出してみると中々人間の会話ってちぐはぐだし、よくわから
んものが多いなぁと」「あんた誰だよ」「作者です」「おお、メタいメタい」「なんかこう
いうコメントもこうして言う分にはいいけど、文字としてジロジロみられると案外恥ずかし
いものがありますね」「ト書き、というと、学生掲示板なんかだと、その形式ってだけでフ
ルボッコにあいますからね「これはだめですね」「これは小説ではない」「小学生の書くモ
ノ」「文学ではない」」「おお、こわいこわい」「だからまぁ、これでも少しは読みやすい
ように補正を入れているつもりなんですが、入れれば入れるほど、その補正が言葉を長くし
ていって、会話を会話じゃなくしていくような感覚に陥る」「なんかうぜぇ」「例えば、た
だいま絶賛放送中の『繰繰れ!コックリさん』3巻20憑き目:いじめっ子少女現るp32
にて、いじめっ子少女がこんなセリフをいうのです『私のお小遣いが圧迫されるわ!!!』
で、アニメでもまんま言わせてんですけどねぇ、、、違和感半端ねぇんですよぉぉぉぉ!!!!
小さい子が咄嗟に圧迫なんて言葉使うわけないんですてぇぇぇぇそこは改変してもいいと思
うんですよぉぉぉぉ!紙の上だったら全然違和感ないのに「今からツイートする!」とか喋
ると違和感でるんでしょうなぁぁぁぁぁぁ!「うぜえええええええええええええええええ
ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
えええええええぇぇっぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」「うるせぇのはテメェだあんちくしょ
う(怒)」

「母親にサンタクロースはいない、と、クリスマスの日に、ちょっとした物語を添えて言われた
時が、多分人生の中で一番異質なショックだった」

「真面目な話をしりとですよ、先輩。俺って将来の夢ってないんですよ、ただ、誰かの役に
たちたいっていう」

「そんなもんだろ」

「そんなもんじゃないですよ」

「冬が始まるっていうと、なんかくらいイメージあるけど。」

「明るい話でもしますか」「僕も混ぜてよ」「あんた誰だよ」「主人公です」「主人公は俺
だよ」「お前じゃないお前だ」「え!僕ですか?」「僕ですよ」「いや俺の方だって」「先
輩は一年早く卒業してしまいますから永遠の二番手なのです」「ノオオオオオオオォォォォォ」

「といいつつ、ここまで長々ときてしまいましたが」「僕思うんです、あ作者です、始めるの
って楽ですけど、終わらせるのって楽じゃないし終わる前に物事って始まるじゃないですか、
僕、それをなんとかしたいなーと思っています」「っはい!という訳で、現場からは以上です」

「といってまだ終わらないのだった」「先輩、いい加減悪ふざけはやめましょうよ。多分多く
の人がここまでよんでないだろうし、読んでる人も直前で、ブラウザバックしてらっしゃると
思いますぜ、」「いや、正直どこまで長く書いていいもんか、ゴルで、試したかったのがある
のよね」「あんた先輩ですか」「いや先輩じゃなくて作者です」「いや作者であって先輩であ
る」「頭痛くなってきたわ」「作者であり先輩でもあり、そしてきみでもある僕俺、その他も
ろもろはどうあがいても、僕でしかなく、僕以外の何者でもない、但し紙の上ではな」「それ
は違うな」『あんた誰だよ!』「つーかもうつかれました」


「…という訳でもう一軒廻ることにしました

                            つづ(かない)


(最初に戻るでもいいと思います)
(もういい加減皆疲れましたわ・・・)
(まだ続けんですか?)
(嬉しそうだなぁ、おい)
(かってなこと言わないで下さい!額がこう、ピクピクしてんのが見えないんですかねぇ!)
(見えません)



*22:07 誤字脱字、その他諸々修正
  • あまさら
  • 2014/11/15 (Sat) 18:35:40
冬、はじめました。
いとおしくてあたたかなかたまり。例えるなら生まれたばかりの赤ん坊。訳もわからないまま抱きしめたくなる。愛よ、それは。名前は日だまり。

重ねても重ねても重ならない、色。赤は赤だし黄色は黄色。追いかける。潜る。柔らかく腐敗している。そのまま重なり続ける落ち葉。落ち葉。

玄関にまで溜まるぬくもり。夕飯はきっと鍋だろう。遊んでいた湯気は薄まりながらもほわりと舞って、高らかにはじまりを宣言する。
  • 星子アヤノ
  • 2014/11/15 (Sat) 19:14:10
冬、はじめました。
2014年11月また冬が来ます
つめたい風の吹きすさぶなか
ひかえめに降り注ぐ光のしてきた
途方もない宇宙の旅を考えたことがありますか
太陽系の中心から暗闇を進み続けた光の粒

息をするたび肺に訪れる空気が
辿ってきた風のルートをどれだけ知っているでしょう
海や砂漠や氷河や山や赤道辺りを過ぎてきた
風にはもはや故郷などない

蛇口をひねれば出てくる水が
両手につめたく触れるまで
果て無く流れてきた旅に
思いを巡らせたことはありますか

私の口に入るお米の
育った田んぼの雪解け水や
梅雨や日照りや台風を越えて
炊き上がるまでの道のりを感じることができますか

味噌汁の味噌や豆腐や薄あげは
元はどれも大豆なのに
それぞれ数奇な旅の末
一つのお椀に収まるわけです

さっき話したあの人が
出会う前に味わった人生のことを
どれくらい知ることができるでしょう
言葉の土台にあるものをどれだけ汲んでいけるでしょう

目の前にあるものは当然だと思っている
誰にとっても当たり前のことばかり
人も物も自然もすべて出会う前の旅があります
知らないせいで気付けない旅がいくつもあるのです

2014年11月
また冬が来ます
冬を運んできた寒風に
きびしいと嘆くその前に
つめたさがその頬に触れるまで
孤独にしてきた旅のことを考えてみてはどうでしょう

冬、はじめました
いろんな出会いが重なって
冬、はじまりました
今年は愛してくれますか
  • あまん
  • 2014/11/15 (Sat) 20:21:14
冬、はじめました。
やっぱ芋っしょ
焼き芋
はいっ君っ
モリモリ食べちゃって

やっぱ栗っしょ
甘栗
皮剥くの
めんど臭いんだよなあ
そう言や君って焼き芋の皮
結構丁寧に剥くほう
うんうんっ
あの皮にゃ多分
残留燻蒸剤
林檎のだってもう
栄養なんか

鯛焼き鯛焼き
一本焼きは天然物
数本焼きは養殖物って
こないだやっぱここ関連で
ウィキペディア
行っちゃったんだよなあ

やっぱ鍋っしょ

ほらほらっ
肉行って肉行って
どんどんどんどん
僕あ椎茸好き
でも確か
あの
まっ
食べよ食べよ
  • 安藤紅一
  • 2014/11/15 (Sat) 20:41:42
冬、はじめました。
世界が沈むことを早くしているので今日を忘れないようにしよう
魚は寒くないの、と聞いている、だいじょうぶよ、と声がする
変温動物、つぶやく、聞かれていない質問への答え
鳥は寒くないの、と聞いている、だいじょうぶよ、と声がする
並木道には自転車と50代と思われるジャージの夫婦
手を引かれている子供とその母親、部活帰りの若者
人の見本市、違う、私はいない、お前がマイナなんだろう、そうとも言う、そう以外は言わない
知っているか、寒暖の体感は、心の在り様によって変わってくるのだそうだ
そうなのか、そうだ、あの子ぐらいの時には寒さは母によって和らいでいたような気もする
主観的な過去はもう全て憶測、それはしかたがない
そうか、そう仕方がないと言って諦めたものがいくつもある、手放したものがある
手に入れようとあがいたことがあったか、なかったか、あったつもりで掴んでないか、ないところを掴んだか
ぬくもりと光を供給していた太陽が赤くなっていく、悲しいことは物理的な喪失から生まれる
空腹、別離、散財、夕焼け、初めから持っていなければ、まるでそうともわからないまま
いくつになっても母の手を求めてしまう、恋のささやきは、そこを埋めるためにすぎない
木は寒くないの、と聞いている、だいじょうぶよ、と声がする
逃げ出した犬を追いかけて、名前を呼んでいる声がする、それは突然駆け出した子供の名かもしれない
名前なんて記号、特別な記号、メリーゴーランドの電源ボックスの鍵
ママ、と音を立て、小さな影が、大きな人影に吸い込まれる、もうそろそろかえろうか、と音がして
もう、冬、はじまる? と、音がした
それを見ていた、あれはなんだろう、なんだったろう
世界が沈んでいく
質量の大きいものを軸に主観が落ちていく
手を伸ばしても体を支えられる場所がない
膝を折れ、せめて前にかがめ、そして靴紐を結んでいるふりをしろ
治まれ体、留まれ視界、息を整えろ、唱えろ、1、2、3、4、5...
顔を上げる、立ち上がる、帰ろう、ポケットを探る。
  • クローバー
  • 2014/11/15 (Sat) 21:02:46
冬、はじめました。
冬が始まるということはさみしいことで
さみしいことは書いてはいけないような気がして
明るいことを書かなければいけないから
やっぱりそれはクリスマスのことで
結局それはさみしくなってしまうので
ここは冷やし中華みたいなノリで
書いてしまおうかなと思うのだけれど、

それは学ぶ必要のない授業で君が
ずっと眠ってしまっていて
でも君はテストになると成績がよくて
君はまるで冬眠している熊のようで
たしか熊ラーメンてのがあったなと
ラーメンと冷やし中華でつながったなと
訳の分からないことを書いて
全然冬が始まらないのだけれど、

僕は強引にでも自分から冬を始めたいと思うのです。
  • 博喜
  • 2014/11/15 (Sat) 21:30:14
冬、はじめました。
隣の隣のサークルで“冷やし中華はじめました”だってこのビラなんですかって聞いたらよく見てみてって言われてよくよく見たら“や”と“し”の間に小さく“か”があるんだなにこれ、ひ、や、か、

やあい引っ掛かった

そうだ夏でもなし中華屋でもなしみんなにやにやしてたのわかってたしまんまとやられっぱなしでくやしいから地団駄ふんだ、ら、んららんららんら
サークル棟コワレテホール棟コワレテ校舎マデコワレテ
思い出は跡形もなし

本当です、おかしな人がいたんです
だけどどんなだったか言ったら素性がバレるんですたぶん
本当です、真似したんじゃないんです
だけどいまさら言っても信じないってよ、いまさら(大事なことだから二回言いました)
本当です、私お菓子の人なんです
だけどおなかすいても自分の顔は食べられないか、ら、んららんららんら、失格

そうだ人間失格なのが多かったよねって相槌打つから文学部だけにねって返したんだこちとら教員免許もってんだペーパーだからってなんだってんだ運転免許はゴールドだっつってんだか、ら、んららんららんらうっさぎっとダンス

あ、六限はアキだね
じゃあ七限は冬だね
  • こうだたけみ
  • 2014/11/15 (Sat) 22:56:52

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