あの山越えて
これでよろしく願います。
小学生の頃、読んだ少女小説のタイトルです。
作者は誰だか覚えておりませんが佐藤紅緑かも知れません。
内容は、樋口一葉の「十三夜」的な因果な世界に花を添えたような悲しい物語でした。
今でも、同名のコミックが出版されていますが、内容は全く違うようです。

その他のタイトル候補
湯下駄の里
隠徳を積む猛暑


  • aoba_3k
  • 2015/07/21 (Tue) 22:16:50
あの山越えて

運転手さん、あの山を越えてください

そう言われましても
私には山が見えないのです
山に人がいなければ
民家の明かりもないでしょう
山の中に道がなければ
街灯も光らないでしょう
光るものがなにもないなら
山は暗闇
暗闇に山があってもなくても
誰も解らない

お客さんが指差すそこは
暗い海かもしれませんよ
そもそもお客さんが山と呼ぶものは
海の異名でないとは限りませんね

私は暗闇に車を止める
私が下りて
海辺の砂を踏みしめると
後ろから砂を踏む音が近づいてきて
恋人は私の隣に寄りそう

お客さん、私は山を越えたのでしょうか

満足そうに微笑む恋人
それ以外に誰もいない世界で
どちらが正しいかなんて
誰も解らない

暗闇に響く波音は
私だけの幻聴かもしれない
  • 2015/07/22 (Wed) 13:08:05
あの山越えて
不謹慎な程にウネル波型が美しい
トルネード・ポテト

和食が似合うのだから
「じゃがいも」と呼びなさい



説教をしている声が
油塗れのプチプチ音とともに
絡まり合う夕刻の雰囲気は

憂鬱な湿気に包まれて
酷く臭うけれど
止められない常習性をも
醸し出して行く

こんなに甘いメロンを食べてしまえば 
もう 普通のメロンを食べられなくなってしまいそうだ

倖か不幸か 誕生日に合わせて食べた
初メロンの産地は夕張

貼って行くのはマスキング・テープと
相場が決まっていた筈の

四角いパレットに
桃色の画用紙を垂らしこんで 

ヨダレの出る角度で
ミシミシと揺れたのは

足元の畦道を必死で踏みしめる
麻の履物

何時か踏みしだいた畳の匂いが 
ふんわりと過る

脳裏の奥からはみ出した波が 
もうひとウネリ

道は続く うねうねと 
どこまでかは 続くのだ
  • 藤鈴呼
  • 2015/07/22 (Wed) 14:04:53
あの山越えて
あの山? どの山?その山? この山? 越えて? それでどうするの? 生きるの? 死ぬの? ふわりふわりと漂いながら(ただ酔いながら)タダでもらったビールに酔って(ふわりふわりと空気の中を漂いながらどこかへ漂着した僕の魂への態度)見よ! もう何千何万年も過ぎてしまった謂れのない言葉で(岩、割れのない言葉で)呼吸する(僕は言葉で呼吸する)魂で(呼吸する)すう、はあ、すう、はあ(でもってもうどこにも行かないで行ってしまった海のことさあ太陽もろとも行ってしまったbyアル中・乱暴(アルチュール・ランボー)メクシmeximerciフランス語の発音難しいですね
  • はかいし
  • 2015/07/22 (Wed) 20:34:09
あの山越えて
ここ二日でひと山越えた感のあるわたしたちは
 次の山あるいは谷を想像できないでいる

  見上げる山 天辺が雲に隠れて見えないほど
   見下ろす谷 闇へかき消えるほど底なしの

    ジェットコースターは外からコースが見えること
     によって安心して怖がれるのだと思い知るわたし
      たちはただポカンとして目に見えない山あるいは
       谷の訪れを待っているここで

      山が上下に分かれれば峠
     峠を越せば広がる里
    さとはうつくしいか
   うつくしくしあわせか
  みのりあるか 秋

玉のようにうつくしい
 娘であった母だけが
  左右非対称の印を持つ

   あの、山を越えたい
  • こうだたけみ
  • 2015/07/22 (Wed) 21:16:17
(投稿対象外)あの山越えて
中三の音楽の授業中のことでしたが、
子守唄を教わっていた。
と言っても教科書の楽譜を見ながら
皆で合唱するだけなのだが
理論はともかく
一度唄えば覚えてしまう時期だったから
先生はそれでも良いと考えたのか
学習指導要領に書いてあったか知りませんが
先生はまだ存命と聞きますから
いざとなったら確認してもいいですが
果たして本当のことを語るかどうかはわかりません
シューベルトの子守唄やら何曲か歌った後は
中国地方の子守唄
女子の整った合唱を聞いているとわれら男子はただ声を
音符に乗せて合わせているだけで、味も素っ気もありません
こいつらは、もう母親になる準備が完全に出来上がっている
油断も空きもありませんがとても頭が上がりません
傍に若い母親軍団が幼い男子供をあやしている
そんな悔しい実感を覚えたのですが
その実、こいつらは普段は喧しく、黄色い声を張り上げ
ちゃっかりやりたい放題の気ままな奴らでありまして
世の中一体どうなんっているんだろう
中国地方の山を越す坂道で滑って転んで、リュックの底に入れてあった
偏向ゴーグルを割ってしまったのはそれからずいぶん時が経っていて
周囲には、女子中学生はおろか、人っ子一人いないなだらかな山道であり
山道降りて鉄道の駅に辿り着き、険しい峠は列車に乗って超えたのは今まで
誰にも語ったことは有りません。
  • aoba_3k
  • 2015/07/22 (Wed) 21:27:24
あの山越えて
ホームランボールが飛んで来たので
とる(その時B'zをイヤホンで聞いて居た)
セピア色の雰囲気の中
17時39分頃に
飛んできたボールを
とる
カブトムシがコンクリートを這って居る
ミキサー車が唸る
縦線の沢山入った服を着た男が
荷台を五月蠅くたたむ
軽ワゴン車に載せる
夢の中の時間はたゆたい
登山中の時間の中でセピア色に過去を修飾する
山道で拾った枝を杖にして
山道を行けば
500ミリリットルの
カンチュウハイの缶を拾う
缶には翼が生えて居て
つかまれば山を越えて行く
何時か見たあの山を
木の生えて居ない
薄雪の積もったあのはげ山を
超えて我々は敦賀気比大社へと辿り着いて居た


  • ぎわら
  • 2015/07/22 (Wed) 22:10:14
愁さんへのレス
私の住んでいる地名にも山が使われてますが、実際は平地で起伏は全く有りません。しかし、明治の頃までは、開けた地域から眺めると、黒々と木が生い茂っていた森が殆どの戸数も少ない未開の地であったので山と呼ばれていたとか誰かに聞きました。あの山は、森でもなんでも、黒々とした領域であればどこでも好い訳で、その意味でも十分納得できる作品でした。
  • aoba_3k
  • 2015/07/23 (Thu) 20:09:01
藤鈴呼 さんへのレス
世代間の生活様式、味覚、嗜好などの感受性の対比をユーモア溢れるリズムカルな口調で縷々述べて、それらをうまく乗り越えていく人生の山あり谷ありを表現しているようで面白かったです。最後に麻が登場するのが和風天然素材への回帰への伏線のような気がしてこれからの活躍が期待できます。
  • aoba_3k
  • 2015/07/23 (Thu) 20:17:19
はかいしさんへのレス
乱暴者も英雄もチャンピオンも、素質においては余り差が無いのかもしれないなと思いました。どんな環境で育ったか、が大きく左右され、時代の波に押し流されればただの酔っ払いで、上手く波に乗って先頭を切ればチャンピオンにもなれて、歴史にその名を残したりしてますます才能が高く評価されたりします。酔いどれ親父がなにを言っても歴史には残らないけど、どちらも同じなのかもしれないと思いました。繰り返される駄洒落もその並列性を刻印するようで、いつの時代でも同じだと言っているようで印象に残ります。
  • aoba_3k
  • 2015/07/23 (Thu) 20:27:20
こうだたけみさんへのレス
山は低いところから見ると山だけど遥か宇宙船から眺めたら、凸凹した凸に過ぎないのですが、宇宙船にはおいそれと乗れない現在、自分で自分の起伏を乗り越え、仕合わせをつかむしか有りません。
非対称の印を持てるのは極僅かな非凡な人に限る、凡人にはやはり無理なのかと、自作を読み返すのです。
山並みを想起する記述を読みながら、今はどの辺に居るのかなと思ったり・・。
  • aoba_3k
  • 2015/07/23 (Thu) 21:03:42
aoba_3k へのレス
いくら、スランプでももう少し実感を与えられなかったのかね。乏しい、人生経験の一こまを使うのだから、もっと真剣に記述しないといけない、そう思います。
タイトルから外した位置での記述は楽かもしれませんが、それを繰り返していると、テーマが見えなくなってしまいます。
  • aoba_3k
  • 2015/07/23 (Thu) 21:09:13
ぎわらさんへのレス
悠々と夢か現か分らない風景をユーモアを交えて叙述して、時代の経過と歌枕にもなっている神社の神聖な領域に到着した処で終えている。見事としか言いようが有りません。
  • aoba_3k
  • 2015/07/23 (Thu) 21:16:43

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