鋳掛屋
これで願います。
いかけや、と読みます。街中を売り声をかけながら、その場で小さい穴の開いた鉄の鍋釜を修理する行商人のことです。
今では見ることも聞くことも出来なくなったので、三代目桂春団治師匠の好演でも聞いて想像してみてください。

  • aoba_3k
  • 2016/01/20 (Wed) 03:30:41
鋳掛屋
応急救護講習に履いていったのは
穴開き靴下だから
片足に片足を重ね続けていた
助けられたのは
円形脱毛症の足裏

  川口市は
  ヤクザ、風俗、○○○で有名だから
  日本で唯一のベーゴマ工場がある
  鋳物工場で今から街おこし
  なんて時代遅れだから
  穴開き靴下の名産地で街おこししよう

寄ってらっしゃい見てらっしゃい
こちらはお悩み相談室ですよ
きみが書いた小説には
やたらと穴が登場しているからね
どうせならきみ自身の穴を
見せてごらんよ
ほら
脱いでごらんよ
ぼくはどれだけ脱いだって
筋トレ中の体しか残ってないから

  ぼくはね
  どうしても聞き役に徹することが多い
  それこそ
  ぼくはフラスコのような容器だから
  入れるだけ入れて
  こぼれないようにするから
  誰かが火をかけない限りね

ふつふつと
沸き立つ泡
 浮き足立つ
シャボン
  飛んでいく 唾
 飲み込む固唾
うくうく
   どうせ
 いや
聞くよ
    でも
結論だけは
先に聞かせてね
後の話は
左  筒  右
に流すだけだから
  • すずむし
  • 2016/01/20 (Wed) 20:51:50
鋳掛屋
テレビが映らなくなった。何か赤黒い物の口からこっちを覗いている緑の舌を映していたテレビ
が映らなくなった。イカケヤに修理を依頼すると、アゴを捻じれと言う。誰のアゴを捻じるのか
と訊くと、尻の黄色いふざけた猫を飼っている鋳掛屋のアゴを捻じれと言う。私がイカケヤだと
答えると、鋳掛屋はヤベッ! と言った。

イカケヤがBBSに書きこむはしから鋳掛屋はBBSに書き込まれる。鋳掛屋がBBSに書き込
むのとイカケヤがBBSに書き込まれるのとどっちが早いか競争だとアラカワシズカが言うので、
鋳掛屋はBBSに書きこむのと競争しているつもりになったがいつの間にかBBSに書き込まれ
るのと競争していた。アラカワシズカは銀盤上をイナバウアーで滑走しながらケタケタ笑うイカ
ケヤだ。

エ、エクトプラズマぢゃあ! 鼻の穴からエクトプラズマが出たぁ~っ! 鋳掛屋それたんなる鼻
水だと思うが。おお、イカケヤの鼻の穴からほとばしるエクトプラズマが何かオドロオドロしい
物へと固体化し始めている! それさっき鋳掛屋が鬼走り祭りの屋台で買ってきた五平餅ですがな。
エクトプラズマが凝縮して五平餅ちゅう物質になったのに鼻水が付いたやつあげるからイカケヤ
食べる? 鋳掛屋いらんわい。

鋳掛屋がBBSに書きこむはしからイカケヤはBBSに書き込まれる。初めは感情の恥ずかしい
部分から左の上前腸骨棘まで。次は意志のみっともない部分から右肩甲骨を経由して左薬指まで。
次は思考のケッタイな部分から第7頚椎を経由してて恥骨結合まで。最後は存在のウザい部分か
らツチ骨アブミ骨キヌタ骨経由で右大腿骨大転子まで。鋳掛屋は相当ヘンな奴らしいがイカケヤ
平気だもん。

イカケヤの聖地それはインバヌマ。バヌマ、バヌマ、インバヌマ。インバヌマはいい。インバヌ
マはいいぜ。インバヌマはイカしてるぜ。インバヌマトレンデイだぜぇ。インバヌマナウいぜえ。
インバヌマナウ。インバヌマで爬虫類ナウ。インパラナウ。インバヌマで地下足袋ナウ。あぶら
足ナウ。インバヌマで夜這いナウ。アオカンナウ。鋳掛屋ナウ。なう。

イカケヤがBBSに書き込むはしから鋳掛屋はBBSに書き込まれる。どこへ? 尻の黄色いふ
ざけた猫を飼っているイカケヤの設計図へ。まだ設計段階だから鋳掛屋はどこにも存在していな
い。イカケヤがBBSに書き込まれた設計図はつまりインバヌマの銀盤上をイナバウアーするア
ラカワシズカの設計図で、鋳掛屋とはエクトプラズマのイカケヤが固体化した鬼走り祭りの五平
餅だった。ニャンじゃらほい。尻の黄色い猫がアクビした。

  • Erntos
  • 2016/01/20 (Wed) 22:08:10
(投票対象外)鋳掛屋
鋳掛屋は大阪付近では昭和40年代まで見かけたのだとネットには書いてある。西暦に直せば1965年から70年くらいの期間、日本国が美しい国から、あまり美しくない、やけに忙しく伝統を捨てて、国土開発の名の破壊をブルトーザーに代表される重機が大活躍し、車も普及し、誰でも使えるデジタルコンピューターが使うのに理論的知識が必要なアナログコンピュータを完全に駆逐して誰でもコンピューターソフトを使えるようになって、機械設計、建築設計、車やバイクにまでその影響が及ぶようになってきた技術躍進の時代だ。そんな時代にまで壊れた鋳物製の鍋釜の修理を、鋳掛行商する人が居たなんて信じられないが、関西は関東に比較して伝統的なものを大事にする文化があるのかもしれない。というのは関東では1980年代には完全に姿を消したオート三輪が、関西では最近までも仕事に使用している方が居られ、私は驚いている。2016年、今年の年賀状にも自力走行でどこぞのクラシックカーフェスティバルに参加したらしい青いオート三輪車の写真がインクジェットプリンターで美しくプリントしてあった。若しかしたら今は、業務は完全に息子さんに譲り、三輪車は趣味になったのかなと推測するが、少し前には曲がり角のきつい古い街での大物運送にはうってつけと、資材配送に使用していたのは確かだ。
鋳掛屋も同じかもしれない。残念ながら私は見たことが無い。昨日久しぶりに積もった雪の道を、竿竹屋の軽トラックは2本で1000円、15年前の価格ですと、おなじみの台詞をラウドスピーカーで流しながら走っていたのを耳にしたくらいだ。
それ以外の行商人は、焼き芋屋、産地直送と名乗る八百屋、そういえば、魚屋が絶滅した我が町では、お金持ちの年配者目当ての冷蔵ケース付きの魚屋の軽四輪が、決まった場所で客を待っている。スーパーの魚は美味しくないから、魚臭い匂いがしないから、普通の魚屋さんの魚が食いたいといつも思っているので、その軽四輪を見るたびに試しに魚を購入してみたいものと思っているが、その行商のおやじ、私が買う気があるとは思わないのか、決して目を合わそうとしない、女性ならば声を掛けてくれるのかなと思いながら、冷蔵ケースの中をこっそり観察しながら何度通り過ぎたことか、昔、道ばたで、バカ貝をその場でむき身にアオヤギにして売っていた行商の貝屋さんを、生きているのに残酷だとか言って、おちょくった罰なのかもしれない。
それが鋳掛屋さんだったら、付き着っきりで黙って詳細に観察して、いろいろ五月蠅く質問を投げかけただろうことは間違いない。鋳鉄を溶かして割れた部分に流し込み溶接するなんて、なんて面白そう、私も真似して火傷したりしたことも間違いない。鞴の風で炭火を起こし銑鉄を白く感じるほど明るいオレンジ色になるまで熱して溶かす、なんと魅力的なことか。
今でも、お寺の鐘や古い半鐘の修理には鋳掛けの技術を用いるとのことを知り、今でも鋳掛け職人が居るのだと、なんだか嬉しくなる。古代から現在まで続いている鋳掛けの技術、近代化した金属溶接法のひとつとして、使われているのを知り、これからも生き続けるのだなと少し安心した。
残念ながら、鋳掛と沸かし接ぎ(鍛接(たんせつ) )の区別も知らなかったそそかしくおっちょこちょいの私はたとえ親父が鋳掛屋でも後を継げなかっただろうと確信している。
  • aoba_3k
  • 2016/01/20 (Wed) 23:34:06
鋳掛屋
そいつのことを「はんだめん」と呼んでいる
そいつは自分のことを 「たぬき」と自称している

初めて「半田麺」と云う食べ物を知った時は
なぜまた溶接面を商品名にするとはなんと奇抜で夢のあることかと思った
炎のある暮らしこそ 人の暮らしだ
子どもの頃は 鉄の街に住んでいたから 学校までの道なりに
何軒もの鉄工所があって 火花に見とれていると
おっちゃんに「目をやられちまうから 火花を見るな!」と よくどやされた
ところが いま住んでいる街には 炎が無い
うちの台所にしたって IHで 炎が無い

そいつに出会ったのは 炎が見たかったからだ
鉄の街で育ったので 鉄が好きで
芸術作品なんかも つくったりもしているのだが
昔の作り手の仕事もなかなか良いものだと思い
古道具屋で 私は火鉢と茶釜を買ってきた。
するとだ この茶釜はもしかしてSHARP製なのかあ?火にかけると喋ったのだ。
「あちち」「たぬきじるに せんといてください」と釜が言う。
金属の釜を食べるわけがなかろうもん。この釜の まあ良く喋ること喋ること
こちらの顔色を見ながら喋っているので 人格を認めてやろうと思い始めたころ
彼がいうには 「申し遅れましたが、文福茶釜と申します」とな
ふむ炊飯器ぽい名だな。ま いっか。

みれば 腹のあたりに穴が開いているのを 治してやったら
彼は私のことを「   」と言った
良く聞こえないぞ なんだそれ
『いかけ屋 ですぅ。こんな字を書くんです。鋳掛屋』


ようするに あれだな。「VTRスタート」っていうのと同じだな
ビデオテープレコーダーなんて時代遅れな物は使っていなくても、「VTRスタート」って言うみたいな感じかな たぶん そういうことで

私の家での名前は、鋳掛屋だ。でも こんなことは ツイッターには書かずにおこう。
  • るるりら
  • 2016/01/21 (Thu) 00:31:54
鋳掛屋
スイーツの為に並ぶと
ボタンが打ちつけられた
木の上に落ちて居る
列の前の方の人等は
木の椅子に腰かける
寒風が身を切る様に寒い
詩誌の巻末の読書投稿欄を読むも
三篇ほどで止めざるを得ない
列に対する指導があって
後ろの方が通りに掛かって居たので
人通りを阻害しない様に
折り曲げられて
南から北に向きました
正規の列は北から南に向かって居ます
鋳掛屋でも出て来そうだねと
話す人は一人も居なくて
落語家の名跡は私の中にだけ
溜まって行き
出掛ける前に散々調べて
内向化して居ただけでした
一人の少女が「間」に対する愚痴を
行って居ただけでした
間無く指が触れるのは良くない
間を開けましょうと
言って居た様な気がします
何処からか芳香が匂って来る様な感じで
寛ぐような雰囲気の中
その少女はヒーローの出現でも
望んで居たのかもしれません
  • ぎわら
  • 2016/01/21 (Thu) 01:49:33
鋳掛屋
「砂場の中に、小さなスコップが埋もれている。」
幼い頃
父と遊んだ記憶と共に。
足跡を辿りたくて・確かに存在する思い出を取り返したくて
私は無心に穴を掘る。
「お父さん。お父さん。」
辿れども
辿れども
暗く深い空間ばかり。
「いつの間にか、何を見失ったかを見失った。」

ームイシキニサケテイタ、キオクノナカデ。-

薄汚れていた指の隙間から
さらさらと砂が落ちる。

ーコワシタモノヲ、セメタテルヨウニ。-

足元に積もるほんの一瞬
見えたものがあった。

絵本を抱えて座る父の膝の上。
鮮明に残る人参の赤と卵の黄色。

(後部座席で私は眠っている。振動をゆりかご代わりにして。)

寄り添って眠る私と妹たちを眺め
起こさぬようにと父は頭をなでる。
「どうか娘たちが、より良い人生を送りますように。」

祖父と祖母に連れられて
父はしっかりと手を繫いだ。
  • 梓ゆい
  • 2016/01/21 (Thu) 03:07:22

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