生きている この世界に
生きていた あの世界に
ああ
なつかしいな
西暦があった世界の2000年頃に
私のバリエーションが詩を書いていた
おそらくそんな世界があった
それは確率論から導かれるお話だ
「西暦」という暦
「暦」という概念
「2000」という自然数
「年」という単位
それらの存在を掛け合わせた世界
それを「なつかしむ」私がいる世界
私は私の存在確率が0に漸近する中
生きてきた
バリエーションは皆死んでしまった
人間が二人生きている確率は
一人が生きている確率よりもずっと低い
そんな事情で
次のインフレーションを待つまでの間
もはや一人で居るしかなかった
独学でバリエーションの精神を統合する術も学んだ
「独居房」では「幻覚」を「見る」のだという
そんな世界もあったな
それでも私は私の知れることしか知れなかった
そう思うと宇宙の時間は長いようで短かったな
ああ
「なつかしい」な
あの「新緑」の「匂い」があった頃って
- たかは
- 2016/04/23 (Sat) 10:12:40