即興ゴルコンダ（仮）

これでよろしくお願いします！
お好きにどうぞ！

ふわり舞ういぐさのカーペットに、くっきり白くひかるやまぼうしの花、ひかげでお腹を出して寝そべる犬や、ミニクーパーの下でおひるねちゅうの猫、水鉄砲で遊ぶがきんちょたちに、ちゃりんこの蛇行運転じいちゃんや、ずらずらといとばた会議のおばちゃんたち、中途半端な昼月につっこむ飛行機に、ありがとーありがとーありがとーとだけゆうばあちゃんや、ふくらんできたさくらんぼ、ジャンプしてとなりのうちの枇杷をひとつ盗み食いする阿ト理恵エトセトラ。

５月１２日午後３時日本国静岡市葵区ある町あたりを、きれいな風がお伝えしました。

波うつカーペット

結果がすべてと
紅い絨毯は知らん顔
可愛い顔した幼子が
伸ばす筆のその先に
白波５人男の艶姿
多いと呼べば
少ないと答える
燃費の悪い車を走らせて
大相撲は熱帯びる
熱帯じゃなと詩人も
叫ぶ
日本ワンダフル
私もワンダフル
原爆投下の街の跡
綺麗な草が生えている
皐月晴れの空の下
今期日程には間に合わない
脇腹痛めた我が子を捨てて
どこぞの馬の骨を愛でていて
紅い絨毯で走らせた
これでは痛むの声を聞き
なにも出来ない土俵際
道路際に投げ出して
後は野となれ山となれ
首都高速を２００キロで
逃げ出した
自業自得の免許証
７５歳からは勉強だ
認知症を自覚するために

きっといつか出来るよね。
指切りゲンマン、

ご飯一合、掻き込んだ、お茶漬けが少し不味くて、
一人で待っていました。
カーテンがひらひら。レースのカーテンがひらひら
窓も開けてないのに、そこに、誰かいるのか？
と、そっとめくってみたらカーペットの位置が少しだけずれていた
そして、その右端の端っこが、リビングから洗面所のある部屋に引き込まれていた
そぉっと引き戸を明けて中を覗いてみたけど、またカーテンが心地よくゆらゆらと風に遊ばれて
と、背中をギュッと包み込んだ、硬い生地のカーペットが、僕の体を波のように後ろから包み込んできた、波を被せてきた僕はそのまま前に倒れた、僕の目の前には窓のしまったリビングの風景。誰もいない空間。
ゆっくり立ち上がってテレビを付けた時に、
足に痛みが走った時に、窓が割れていた事を知った
そっと僕の家の前で事故が起きてた事を知った
トラックが鼻先にあってフロンドガラスが蜘蛛の巣みたいに割れていた視界をそっと真下に落とすと、またもう一度カーペットがクラゲの襞みたいに僕の膝の上で浮かんでいたよ

その下に何があるのか知るのが怖いので、ずっとそのままにしている波うつ灰色のカーペットには前の住人の、そのまた前の住人の足跡なんかが見えないけれど無数に残っていて、運び込んだばかりの段ボールの真ん中で、ごろんと寝そべったきみにとても驚いたのだった八年前。四回目の更新は保証人の欄の名前が変わっていて、けれど私はあんまりかわりばえのないまま寝て起きて出かけて帰って寝て。ただいまって言ったらきっとおかえりって言ってね。ただいまを言うことなんてたぶんないのだけれど。

波

ただドローンが飛んだだけ
Bボタンで追尾して
Aボタンで発射する
無人が狙うゆうじん
救命ロボットが僕たちを守ってくれるなら
戦争が勃発するのかもしれない
そんな予感をさせるテレビ番組が
波に乗ってきた
ドローンも波に乗っていく

うつ

ゆううつは川面を打つ雨だ
東京の想像上の梅雨だ
妻は札幌に梅雨がないという
本当の梅雨が来たらうつだわという
氷河期が来るんだとか
地球の温暖化が進むのだとか
そんな鬱屈したテレビ番組が
波に乗ってきた
川面に無数の波紋が立つ

カー

カーと言ったらミーだ
そこらへんはツーカーだ
ゆらゆら帝国ミーのカーにのせて
マイナンバーカードの到着を知らせてくれるのが俺の嫁だ
何か足りないミーのカード
曖昧にアイマイミー
番号をつけることはそういうことなんだ
マイナちゃんが波に乗ってやってきた
俺はうちがばれないように波風を立てないぜ

ペット

マイナちゃんはうちのペットだ
そして俺はマイナちゃんに番号をつけられた
マイナちゃんが空を見上げた
あれはドローンじゃないか
雨粒ほどのドローンじゃないか
雨粒ほどのドローンの大群じゃないか
ついに札幌にも梅雨が来たのだろうか
ナンバーに紐づけられて飛ぶ
俺はマイナちゃんの機嫌を損ねてしまったのだろうか
Bボタンで追尾して
Aボタンで発射する
居間のカーペットが波打った

時々波うつカーペットは
鶴の羽毛で織られているのです
突然恩返し
　　（クォーク　クォーク）
そして
実│は僕には鶴を助けた記憶などなく
は│たまた鶴もアレを見るなとは言わず
ま│だ僕が寝床でゴロゴロしているうちに
だ│らだら昼近くなり
部│屋いっぱいに鶴子の匂い
屋│根裏の干し草ベッドの匂いが拡がり
に│っこり微笑んだ彼女が覗き込んで
い│るんです
る│んるん鼻歌混じりでまだまだ匂い
の│キツい新作マフラーなどを手に
で│もそのマフラーは波うつだけでなく
す│るする僕の首に巻きついて来て！