ホクホク顔で頬張る
頬がはち切れんばかりの
笑顔を呈しているのには
理由がある
香りたつ湯気を追いかけたら
何処までも 唇が伸びて
まるで ひょっとこ
笑われないように きゅっと締めた筈の
リップの剥がれかかった皮の隙間から
ニイと覗く歯も
昔は白かった
もう少し お上品な仕草を 身につけなさい
カチャカチャと 落ち着きない シルバーたち
陶器の皿に似合う色は セルリアンブルー
それともショッキングピンクだってアナタが言うから
そっちのほうが ショッキングだわ と言いながら
ショッピングに夢中だった 棚の上には幾つもの茶葉
ねえもういっそ チョコレートケーキで完敗しない?
乾杯するのが早いほうが 堪能できるんだもの
アタシもう待てないわ なんて言うから
さっきまで上昇傾向だった唇が 平坦になりつつある
だって 栗も葡萄もオレンジも 粒揃いの実なんじゃない
ゴロゴロと転がっている昼寝姿の誰かさんと おんなじよって
それじゃあ あまりにも この景色に 見合わない
見合って 見合って
見詰めあって
息を詰めてから
美味しそうな香りと思いを
全て 吸い込んで!
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- 藤鈴呼
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- 2016/10/17 (Mon) 01:07:47