夜明けの三歩手前で足踏みして
寒いからと踵を返す朝焼けの後ろの世界から
「こちらは光が届かなくなって久しい。あなたはお元気ですか」
とぼろぼろになった手紙が届く
寝ぼけ眼で眺める窓から
外の家々の暗い窓の内はまだ寝静まっているようにみえて
実はもう一日のための人々の仕草が
幾重にも始まっていることに気づいたのはいつのことだったろうか
朝食のために出汁をとる
酒を流し塩を落とし口にふくむ
すると頭の芯のほうから冴えていくのでおもしろい
と誰かが言っていた
その人はもうどこかに行ってしまった
自転車でただただ無心に走っているとき
恥をかいたと血がのぼったとき
つり革を手にゴルのよいネタが思いついたとき
すごーい、なんかわかんないけどすごーい、というときの脳内状態
そういうときに見えるもの
スティル・ライフを読んで
テーブルのコップの水を注視し続ければ
いつか観測できるのではないかと思っていたあの光
あるいはフォトニックマッハコーンの食卓で
- みずけー
- 2017/02/10 (Fri) 22:25:31