夕ぐれのさんぽに出かけようと思ったが、空は未だ明るく
真夏に向けて、夕ぐれがじわじわと遅くなっていく
名残惜しむように、夜を遠ざけるように
何を惜しんでいるのだろう、怖がっているのだろう
いつ歩き出したって構わないはずなのに
まだ、空は明るい
歩き始めたらすぐにも日は暮れるだろうに
赤くなるのを待っている
思い出はいつも夕ぐれ色が彩り、
くだらない一言から、厚い手紙の束まで
全てを同じ色に染めていく
終わらないと信じていた
無くならないと信じていた
けれど、終わることを知っていた
少しずつ染まる空気が、夜の訪れを予告していた
ああ、そこに行きたいのか、行きたくないのか
当てもなく彷徨い歩いていても、
太陽が少しずつ、少しずつ落ちていく
- 白
- 2017/06/11 (Sun) 14:44:51