処暑にいたりておとめと綿毛と萩の花
「陽気とどまりて、初めて退きやまむとすれば也」(暦便覧)

二十四節気で処暑に入ったので。
「にじゅうしせっき」と読むのですね。
にじゅうよんとか読んでたよ……。

あと乙女座もはじまるので。まぜこぜ。

  • みずけー
  • 2017/08/24 (Thu) 22:31:13
処暑にいたりておとめと綿毛と萩の花
さくらもち食ったばかりなのに大晦日来てしまったんやそうで、あたしは空から吊るされた葡萄の種を舌で舐める遊びをしていたら、打ち上げ花火が湖面に映るばかりで、空には真っ黒な空に黒ごまを塗りたくったような綿飴みたいな雲が浮かんでいるけど、真冬の熱気に処せられて綿雨になってしもうてる。その下には枯れ草の草原があって、大小様々なクローバ-や、シロツメクサや、どっちも同じやねん。なんやこれ、幻か? 








…と思った所で目がさめないの。






あたしの心の中はいつも真っ暗なのに、いつもちょっとだけ先の視界が見えてる。トタン屋根の上に雨がたれてきてミキミキ言ってる。わたしが座ってる縁側も本当に危なくなってきたらしけど、家を出てどこに向かえばいいのか何も分からない。けど、目の前に湖面があるのだから、湖沿いに行けば何か街があるのかもしれないから、クローバーとシロツメクサで敷き詰められた年齢の鯖よまれた、あしたのさかな売れるかな、ここのさかな美味しいんかな、水底にロケット花火の残骸があるんやなて、バチバチまだ燃えてんねん。
下の下のほう、ヒレ付きのマグロが、ものすごい速さでビュンビュン飛んでる水の中に綿雨が浸かると、冷やされて長い長いさかなになる。あたしは魚になった。長いとうめいなヒモ状のマグロになって、真っ黒い水底の中、笛をひょうひょうと吹いている。長い長い透明なチューブの中に虹色の光ファイバーが通り始めて、遠く遠くどこまでも繋がっていく、電話線や、様々な人間達の笑い声や株式のやり取り、そこらへんのコンビニを統括・管理してるゼネラルマネージャーが首になった話、




きこえてくる、耳障りな猩々たちの歌声。







綿毛が飛んでいく、海底スレスレを漂ううつぼの花火のように、延々と低空飛行していく、ぐるぐると止まらない海流の流れにのって、






空は晴れている。










どこまでも遠く空の向こうに太陽と蝉の鳴き声が聞こえる。蝉は熊の形をしている。木のてっぺんのほうに構えている。そして、世界には花が咲いている。荻の花が咲いている。わたしの友達の名前は荻野ちゃんと言っていたけど、最初はぎのって言っちゃって、それからその子のあだ名はおはぎちゃんになっちゃった。韓国が大好きなおはぎちゃんとは既に疎遠だから枯れ草、枯れる前に飛んでいくから綿あめ、綿あめは溶けてしまうから空、宇宙、湖面に映る宇宙ばかり、そしてあたしは走っている、空の上、水底というそこの底、そこそこのそこ、中くらいのそこ、何もない太平洋のどまんなかでクジラたちが戯れていそうな夏、お盆を過ぎたくらいの気まぐれな日曜日、夏休みに日曜日も土曜日もない、でも暑い、綿あめはもういらない。あたしはひつじ座生まれや。


  • あまさら
  • 2017/08/25 (Fri) 13:26:24
Re: 処暑にいたりておとめと綿毛と萩の花
えのころ草に赤とんぼ
留まる橙ゆうまぐれ
滲んだのは何の色
リ、と鳴る涼音

Re:Re:Re:Re:Re:

おとめの祈りは
届かなかった時の
経つほうが早かった
から、っぽねそうそう

wwwwwwwwwwwww

〜前略〜中略〜後略〜
したためないてがみ
かたらないことの
はばかりあふれ

Re:Re:Re:Re:Re:

ゆうがためいる
届く一件のメール
前略と草々の合間で
またひとつ歳をとって
  • こうだたけみ
  • 2017/08/25 (Fri) 22:06:01
処暑にいたりておとめと綿毛と萩の花(投票対象外)
道に迷っている
自転車で走りながら迷っている
海沿いの国道は道幅も狭く歩道もまばらで危ないので
旧道というか、いわゆる昔の街道筋をたどって目的地に向かうことがある
幕末の著名人とかも通った(ことにしておこうということ)らしく
「○○の通ったみち」という立て札がところどころに立っていたりする
もっともその後で新しくできた国道やら区画整備やらで旧道は切れ切れになっていて
○○さんの通った(はずの)道をたどるのにも地図やガイドマップがないと難しい
そのあたりの抜け道のどこかで角を曲がるのをまちがえたらしく

道に迷っている
すでに日没は過ぎ
西の空の山の端が血で染めたように赤々とひろがりたなびく雲
暗く沈んだ家々の塀からのぞいている萩の花の淡紫色が線香のようにぽつぽつと浮かび上がる
そのへんのよどんだ暗がりに誰がひそんでいても
おそらく気づくことはないだろう
実際、視界のはしに一瞬だけ人の顔のようなものが見えた気がしたことが何度かあった
たぶん気のせいだろう

日中はまだ残暑厳しい候とはいえ
朝晩はどこかひんやりとした手が、こちらの手首をつかんでくるような冷気が
どこからともなくまとわりついてくるような
そんな季節のうつろいを感じさせるようにもなってきた
ものごとはこうして気づかぬ間に進行していて
ハッと気づいたときには外堀は埋まり、もうどうしようもなくなって、どうにもならない、ということもある
小野不由美の『屍鬼』とかそんな感じだった気がする

たよりないフロントライトが路面をおぼろに照らし
後輪からのラチェット音がからからと追いかけてくる
ときどきからから音のなかにどこかしら
ひたひたという物音がまざって追いかけてくる気配がする
気になって後ろを見てみるが、暗いので視界がきかない
走ってきた道は黒々と沈んだ家々とともに妙に暗くまっすぐに
どこまでもまっすぐに延びているように見える
こんなにまっすぐな道だったか?
いぶかりながら視線を前に戻すと

いきなり壁
驚いてブレーキをかける
ぎりり、という鈍い音
後輪が少し横滑る
切り立った斜面をコンクリートで固めた法面が壁のように行く手をふさいでいた
まずいなこんな道通ったことないな引き返すにしても逆に迷いそうだし
と思いながらふと目が止まる
ところどころに広告の看板がいくつかぶらさがっている
金気のある部分はことごとく錆がでて
もう何十年もそのままのような
古びて色あせ朽ちようとしている人工物
たよりないフロントライトでもなんとか判読できるところを見やると
曰く

「夏の花火で私が死体」
どこかで見たようなフレーズだ
というかなんの広告だ
というか著作権的にどうなの

「乙女座製薬」
あやしい製薬会社名だ
製の字がかすれ落ちてほとんど読めなくなっている
二文字二文字で区切ると別の意味であやしい

「残穢」
さざえ、とふりがなが振ってある
たぶん子どものいたずらだろう
その子どもはどこにいったのだろう

「弟切草並感」
たぶんナミの字が誤植
たぶん用語の使用方法も不適当
広告としても意味不明瞭

変なところだなと思いながらハンドルを切ると
いきなり人にぶつかる
顔も見えない、歳も性別もわからない人が
ドンッという鈍い音とともに倒れる
ころころと首がはずれて転がっていく
ころころと転がっていった闇の先に何かいる
ハアハアと荒い息の四つ足のけものが
その転がっていった頭にいきなりかぶりつく
ぐるるるると喉を鳴らしてかぶりつく
がつがつという音が聞こえるが暗くて判然としない
ただ、がつがつという音が聞こえる
呆然としながら
フロントライトが照らしている胴体を見る
はずれたと思しき首の根元から何か出ている
もこもことしたものが出ている
それは白い、もこもことした綿のように見えた
  • みずけー
  • 2017/08/25 (Fri) 22:29:18
処暑にいたりておとめと綿毛と萩の花
しょしょ
ということばを
29さいで
はじめてしった
そういう季節の数えかたがあるんだって
とこなつ
とか読んだ
バカである

綿毛のことは
よくしってるようで
しらないようである
萩の花は
なんだか長州を
思い出したきりだ

おとめ

たぶんこのなかでは
よくしっている
ようで
なにもしらないようでもある
ずんずん
かんがえれば
わからないということが
わかる
どちらにせよ
わからないなら
はじめから
かんがえなければ
いいじゃん

だけど
かんがえる
かんがえてしまう

こっちは
とてもさむいよ
いまに
はじまったことではないけど
  • ぷんぷんぼん太
  • 2017/08/25 (Fri) 23:18:15

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