私たちは並べられた
「オータムフェア 詩を食べる秋」
という名のもとに
私たち、誰かのお腹を満たせるのかしら?
と隣の詩が言い
俺たちが満たすのは何だろうな
と男の人の詩が言った
私に勝てるかしら?私、存在自体が詩なのよ
と薔薇のシロップが言う
大丈夫さ 僕たちはずっと詩ともコラボしてきたんだよ
とワインたちがエチケットを見せて励ましてくれる
「試食できますか?」と掛けられた声に
「試食されるんかい!」と関西地方の詩が突っ込みを入れ
「僕を食べてみるかい?」とその気になったアーチスト詩?がノリノリになる
落ち着いて
こうなったら楽しもうぜ
俺たちは詩なんだ
それを忘れんなよ
「ねえ、詩って食べるとどうなるの?」
「本当に食べていいものかしら」
「なめるくらいにしておいた方がいいんじゃないかな」
「お前たち、そんな覚悟で書いているんか?」
「だって、お腹を壊したらどうするの?」
「私、悲しい詩なの。食べた人にうつっちゃったら申し訳ないな」
「どうして書籍売り場じゃなかったんだろうね」
「いや、あたらしい取り組みなのさ」
「そして僕たちも試される」
「試される?」
「いつまで詩でいられるか、ということに」
- will2
- 2017/10/18 (Wed) 12:14:49