おそらくわたしはあなたといると
雨の音すらも聞こえなくなってしまうので
あなたはあなたの見つけた雨の話を
わたしにそっと聞かせてください
夜というものは地図も持たずに
筏に乗って彷徨っていくものでした
音という音をひろいあつめて
手探りで方向をさだめる
朝を見つけるために
わたしをつないでいくために
もう音は聞こえない
それはしあわせなことなのでしょう
わたしをつなぎとめていたわたしが
おだやかに警戒を解く
そのわたしにまだ慣れていないわたしがいて
小さく警報を鳴らすのだけど
消えていく波紋になりたがる
この夜の中なら明けなくてもいいと
もう一度夜に戻ろうとする
そんなわたしを許しながら
あなたはあなたの見つけた雨の話を
わたしにずっと聞かせてください
- will
- 2018/01/12 (Fri) 12:02:53