冷蔵庫がこわれ
僕の自我が冷える
冷蔵庫がこわれたが
君の自我が冷える
冷蔵庫がこわれても
僕らの自我が冷える
どれもほんとうに
あったこと
鳥のまねごとをして
落ちていく人
扉をぱくんとひらく
薄桃色の脳みそが
ひらめている
これが自我の正体?
フロイトに電話で話したい
フェミニストの目を盗んで
「アメリカン・ビューティー」の
ビデオテープと
脳みそとを入れ替えたい
すると
薄桃色にぷるんと震える
落ちてきた人
僕はコーヒーを飲んでいた
優雅に、
空っぽの頭は
まんなかで二つに割れ
自我がまんなかの
まんなかに
落ちてきた人、の
まんなか、で
ガラス製のなにかが
粉々になる
僕はやけどする
さて、冷蔵庫のことだ
棺桶に似ているのは
たぶん、偶然だろう
こわれて冷えているのも
たぶん、偶然だろう
そう納得して、コーヒーは残す
ぱくんと口をあける
やけどの舌のうえで
薄桃色にぷるん
と震えておしまい
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- 2018/01/20 (Sat) 23:16:42