わたしはながいあいだうそをついてきました
とほうのないうそを
くびのないうそ
ほとぼりのさめないうみのような
けだかいうそ
かなしいうそ
むきだしのうそ
かわいたくそ
いろいろなうそです
うそであることはまちがいないんですが
ですので
うそをついたことはおぼえているんですけど
そのなかみは覚えてなくて
昨日の晩御飯がなんだったかおもいだせないみたいに
というのはうそです、
と言う告白はうそどよ
今日は羽を休めないといけないから
もういきるだけもぼろぼろなんだ
わたしにはうそつきの才能があって
ここまでとんでこられたのだけれど
そんなものいらなかったさ
人を殺す才能のほうが
肉屋になれるだけましかもしれないし
うそつきは泥棒の始まりで
おわりはどこだろうね
と
かぜがそよそよしている
わたしが地面に蒔いた更に水が溜まっていく
もうすこしでまた名前を戻さなくてはいけない
こんなわたしの嘘をいくら書いたところで
わすれさられてしまう
もうむなしくもない
ただ感情がながされて
きれいなうそがのこるね
- 甘露煮さらさら
- 2018/04/01 (Sun) 18:30:09