あるとき
神々しさを身にまとった小粒の子たちは
巨大生物の姿に戦慄していた
悪魔は言う
「神の力を以てして生まれた
誉れ高き醜悪なモンスターよ
君らが成り果てた姿は真に穢れているようだが
我が腑の力には為す術無く
溶け尽くしてしまうだろう
さあ、君らの体を寄越せ
君らの持つ数々の宝を奪ってやろうぞ」
またあるとき
正義の姿をしたハイテクな豆は
意を決して濡れた洞窟へ突入した
悪魔は言う
「己が命運から目を逸し
悪魔の姿を捉えんとするものよ
一つしかない目をぐるぐる回し
何もない所を探り続けるがよい
忘却の果てへと進むがよい
賢い風貌のとおりに
他のものでは成し得ぬ働きを期待してやろう」
―――以上は、悪魔の体内を通り抜けたものたちの
クサいくせに感動はない物語の序章である
- 社町 迅
- 2018/04/06 (Fri) 20:34:15