即興ゴルコンダ（仮）

それは買い物かごとトマトと夕日と街灯かもしれないし、
鉛筆の先と消しゴムと教科書の表紙かもしれないし。

こちらでよろしくお願いします。

16:58恋人たちは恋人たちはありふれたストストレート それそれでもいい


16:59東京の夕暮れに東京の夕暮れに円盤が降りてくる けれどけれどもか


17:00飛行船に乗った僕が夜雲の扉をこじ開ける そうすればスローカーブ


それぞれのスローカーブそれぞれの軌跡それはまるでそれはまるでまるみを帯びた流線 恋人たちは恋人たちはそれぞれのそれぞれのそれでもいいそれでもいいけれど

今日が空に戻るとき
針は刻一刻と
動きを速める
もたついていても
戻らない

今日が昨日になろうとするとき
色を変える空は
影を奪っていく
待っていてよ
叫べども

もう　尖ってはいない
尖ってはいられない
やわらかさを
なめらかさを

染まる空は
太陽を飲み込む空は
やさしさを
夜へと連れてくる

かくがりしたたんぽぽが床屋に恨みをだいて

カゲが丸刈りになる

星屑が干し草になるまで悲しさに浸される

感想池、世界中の光が延々と殺され続けるけれど太陽は僕らが死ぬまでちゃんと光っているみたいだ。

いま起きた
おはよう
朝じゃないのかよ
朝かと思ったよ
暗いもん
トライライトって言うのかな

違うわ
まだあんなキラキラしてんなあ
でもオレンジ色の光が丸くって
ちっとも揺れないくせして
ろうそくの火みたいに沈んでいくのが
時間を忘れさせるよね
違うよ気づいたら時間が経ってるんじゃなくて
時間ってなんだっけ
みたいなね

別に夕陽を見て言ってるわけじゃなく
イメージのはなしだけども
だいいち眩しくてみてらんないと思うよ
お前見てんの
な、見てないじゃん、でもさ
俺の言ってることわかるってさっき言ったろ
そういうこと

でもあの太陽は生き物だって
知ってた？
太陽が死ぬってなんとなくわかるじゃん
椅子とか机とかは死ぬってことないだろ
腐るんだか壊れるんだか知らんけど
太陽はたぶんいつか
死ぬじゃん
だから生き物っていう発想だよ

ちがくていま生きてるって話だよ
勘違いすんなよ
俺らは丸いんだよ
テニスボールとかのがもっと丸いから
まあ忘れてるけど

こんな電話してりゃさ
時間ってなんだっけって思うよ
生きてんなあって思うし
お前は優しんだよ
でもまた時間はくるわけですよ

俺らが誰かの
バースデーケーキ的なものに
ぶっ刺されたキャンドルだったとしたら
吹き消されるまでは
ちゃんと燃えてなきゃいかんよな
な

うん
じゃね
またね
おやすみ

17の角が取れて5になる。
それは買い物かごとトマトと夕日と街灯かもしれないし、
鉛筆の先と消しゴムと教科書の表紙かもしれないし。
ガムシロもミルクもいらないなんて大人でしょって
得意げに注文するアイスコーヒー。
ストローのトンネルくぐり抜けた氷がたどり着く舌の、
裏に仕込んだカンロ飴。
夕焼け小焼け。カラスと一緒に、もう帰りたいよ過去。

あくびした
寝ぼけ玉とんでった

数週ぶりの水球飲んだ
シャボテン針はピンと鳴く

ゴミかごの中の紙くず引いた
もう一度丸めなおした
機嫌よくなったから
おやつみたいに仕上げてみたら
薄い求肥に透けて見える成果
想像するに甘やか
やっぱり捨てないことにした

今日は全て収まった
丸いまま
転がりゆくよ
夕方の坂