時間どろぼう
大丈夫そうなので、私がお題出しさせていただきます。
お題は「時間どろぼう」でお願いします。
最近、ミヒャエル・エンデの『モモ』を読んだので。時間つながりでのお題です。
とはいえ特にモモのイメージに縛られなくていいと思います。どんなイメージに出会えるか楽しみにしています。
お時間を盗まれていないようでしたら、どうぞちょっと詩でも詠んでひと休みしていってください。

  • 2018/07/02 (Mon) 22:23:48
時間どろぼう
快活なベテラン麻酔科医が頭上で喋る

手術は初めてですか
針はどこに刺そうか
ここに痕があるのね
うん、ケモは漏れちゃいけないからね
硬くなってる人もいるけどね
すんなり入ったよ

プツッ

目を開けてください
聞こえますか
呼吸をしてください

大きな傷跡を手に入れた
奪われた二時間半の代わりに
  • こうだたけみ
  • 2018/07/03 (Tue) 10:39:49
時間どろぼう
「朋あり、遠ぽうより来たる。とはいえ、また楽しからずやって感じじゃあ、なかったんだな、これが……。詩と小説とエッセイと、プラスちょっとしたイラストーリーなんかも……。文芸同人誌『もふもふ』の、その『朋』の訪問を受けたのは、ほんというと二年ほど前。梅雨真っ盛りだったのかな、やっぱ。今そんな古い話持ち出して来たのは、そのひとと話すといつも、ミヒャエル・エンデについての泥仕合になるからなんだ。僕たちの世代ってポストモダン真っ盛りの世代。サルトル? 誰それ? マルクス? まあ汚らわしい! ヘーゲル? この近代主義の男根主義の全体主義のネオナチ野郎が! ってとこで、罵倒の対象がビミョーにだけど横滑りして来ちゃってることに、ちょっと気づいて。つまり近代主義の妖怪たちから、未だそんなゴミに拘っちゃってる、石頭のパラノ・キッズのほうへと……。まあ、それって僕のことなんだけどね……。僕はさあ、せっかく大学生のお兄さんお姉さんがたが主体になってる(むむっ? この『主体』なんて言葉も、なんか地雷っぽかったなあ)インターカレッジの文芸同人に参加させてもらうからには、岩波文庫の一冊でも読んでおいて、ちょっと予習でもしておこうかなって、手にした本がマズかったんだ……。別に薄けりゃ良かったんだよ。『存在と時間』なんてとても無理! 『共産党宣言』がダサい(なんて言葉も死語だけどね)ってことまでは辛うじてキャッチできてたわけだけど、えっ? 『空想から科学へ』もそんなにダメなのっ? っていうか、そっちのほうがよっぽどサイテーな選択だったんじゃん! ポストモダン的には! 薄ければ良かったんだよ、バカな僕には。『職業としての学問』でも『職業としての政治』でも良かったんだ。今なら例えば、『論理哲学論考』なんかでもね。それなら本当に良かったような気がするな……。『語り得ぬものについては沈黙しなければならない』って、なんかはやってたじゃん。でもあの頃はまだ、『論理哲学論考』、岩波文庫に入ってなかったんじゃないかな? で、『文学部唯野教授』に倣って『束大』とでもしておこうか? 前記文芸同人、『もふもふ』の会合場所になってた、薄暗い廊下ではコンビニのアイスクリームの冷蔵庫みたいな箱ん中で試験管の束がゴトゴト揺らされているような、かなり老朽化したちっちゃな教室の片隅で……。僕やっぱ、張り切っちゃってたのかな? ずいぶん早めに着いちゃっててね、で……。あれ、安藤君、何読んでるの? ふんふんふん。そん時はそんだけで済んだんだけどね。でもなんかやらかしちゃったなってなって感じは、あったな。……んで。二次会で酒も入って、隣りの席に、将来嘱望されてたけど大学院で教授ぶん殴って今は野にくだってて、みたいな触れ込みの小出版社勤務のひと(『束大』でもこういう経歴って、やっぱ自慢になるんだね……)が、いつの間にか来ちゃっててね。そのひとがなんか、ネチネチネチネチからんで来るんだよね。君ね、純文学よりSFが好きだとかって、自己紹介してたようだけど、オーウェルぐらいは当然、読んでんだろうね? えっ? 読んでない? はあはあはあ。だからか。なるほどね。そういうことね。SF好きって主にどんなの? まさかガンダム? おお神よって、叫びたい気分だね、俺は。さてそのひとが僕をいじるのに飽きたあと、他のひとたちと話し出したのが、エンデに関する話だったってわけ。だから僕も、ちょっといいかえすような気分になっちゃって……。今萩尾さん、『果てしのない物語』は教養小説としての構えもしっかりしてて、なんておっしゃいましたよね? その教養小説ってゆうの、それこそ近代主義的な小説作法なんじゃないですか? だったらエンデも、オーウェル読んでなかったってことですかね? ……で、おいおい、どうしてそんな話になっちゃうんだ? 別に誰それを読んでいなけれりゃならないなんて、そんな話はしちゃいないよ、とかって、こっちにいわせりゃ誤魔化しだよね。もうこっちだって売り言葉に買い言葉のからみ酒でね。『空想から科学へ』とかって問題の立てかた自体に、すでに空想を抑圧してやろうってゆう家父長制的なフロイト主義が現われている、……なんてこともおっしゃってましたよね? ああそれはブッチャーさんだったか。けどエンデだって教養小説としてガチガチになっちゃってて、つまり、家父長制的フロイト主義ってわけで、『でもそれはまた別な話』、なんて上っ面の言葉だけでポストモダンにも色目使っちゃって、なんかほんといやらしいんだよなあ……。とはいえ冒頭のその『朋』は、萩尾さんでもブッチャーさんでもないんだけどね……。でもエンデの話になると……。食わず嫌いにしたってさあ、いくらなんでもそんな理由で全否定っていうのは、大人気なさ過ぎるよ。例えば『モモ』の『時間どろぼう』なんていうのもさあ、資本のメタファーなんだっていう解釈も、あったりっするわけだよ。……だからそのマルクスがそもそも、ゴミなんでしょおっ! 近代主義なんでしょおおっ! 男根主義なんでしょおおおっ! 全体主義なんでしょおおおおおっ!」
  • 安藤紅一
  • 2018/07/03 (Tue) 20:36:31
時間どろぼう(対象外)
誰かを忘れるっていうことは
過ごした時間を盗まれるってこと
きみは死んでも忘れないで
死んでも忘れられないで
  • 2018/07/03 (Tue) 22:25:41

返信フォーム






プレビュー (投稿前に内容を確認)