即興ゴルコンダ（仮）

小川佳世子さんの歌集題名から拝借させて頂きました。

水が見て居た
目覚めの早い今朝に
鳴く鳥がいない
アイダホにシンクロするテレビ
寝て仕舞って遅い昼餉
撮影を忘れたお握り
味噌汁がテレビのシーエムとシンクロする
チョコラビービー
番組のシーエムは別腹で
ミステリー劇場再放送が
再び始まった
母が珍しく率先して
見て居るドラマ
私は庭に出る時に
古いバケツに足が触れて
倒してしまった

ひとは死んだら水になる

そんな童話の人魚姫みたいな
言葉の裏を
ゴリゴリごりごりディグしたいのね
僕
その水ってどんな色？
サラサラしてんの？
匂いは？

君はボロ・アパートの二階で死んで
階下の天井に染み出てくる
ただの染みじゃないよなって
その部屋に住む素人大学生探偵は思う
大家さんとこに苦情が行って
ドアがあくけど　窓にも鍵がかかってて
自殺？
国文学科の女子学生と
タレント講師のあいつとの不倫？
教授の娘との婚約発表だって？

いやいや水が
妙にリアルな天井の染みが
素人大学生探偵を視てる

せずに
真っ白な消しゴムがない
やらに
盗まれたと思ってしまえ
させたら
体中が一方的になる
真夏の雨が覆うならば
喪失感など
など
などが
などがあるように、
水が見ていたきみが見ていた
など
などもありますように、