即興ゴルコンダ（仮）

今回のお題は「おとなり」でお願いします。
どうぞお気軽にご参加ください。投稿お待ちしています。

左頬がすてきだから
ここにいてよ
右には赤い斑点がある
見ないで　誰も見ないで

左目の二重はチャームポイントです
ここにいてよ
右は腫れぼったいから
見ないで　誰も

あなたがいるのは
わたしの左側
指定席

指摘席なのだから
あなたがいなくなって
だれも座ってはいけないよ

手を振れば君も手を振り鈴が鳴る
抱き寄せて受ける重みに鐘が鳴る
本をめくり流れ始める音楽が

君にまた会いたくなる

寄りかかる電車の扉揺れている

再会した日の
海辺のベンチを思い出す
横顔を見つめていた
ふいに逸らす視線と、視線を
あの日の空はグレー

ずいぶん昔の
スカイプで交わしたような
何気ないやりとり
重みを帯びた過去の話
ぽっかりと空いた
私の隣

いつしかふたり
長い月日を過ごした
空が青い、抱きしめたいひと
バラの花束を抱えて
玄関前に立つ
君のすがたが、

隣で寝息を立てる
夫となる

明日の月夜の
想像をして
向こうへたずねる
雷雨はとおく

それはいつしか
深い海へと続くのか
うごめく喧騒が
とてもやさしい


あの音が鳴ると
人はみんな
幼子にかえって
笑顔も消えて

目をつむった
しろいひかりが
泣く夢となるように
君は落ちてゆくのです

60秒で大人になる講座がサイレントで流れる車内には何人乗っているだろうかすばらしいキノコの不要な大人。ピーターの影法師なら見当たらないから魔法の粉ならもらえないのだから乳母車には乗れないサイズなのだからネバーにランドへは飛べない子供。私は他人に興味がないために優しそうに見える類いの人間ですから距離とり過ぎたし誤魔化すし。満員電車はご遠慮くださいこちら側のドアがひらきます少しだけ。蹴落としてセンター。合格したから歌いますってフェードインしてくるムジークは女性（名詞）。マイク代わりにペンとって。つづりますつづきますつづれ降ります次の駅で。回送電車にご注意してたらもう時間ですサン、ニィ、イチ、

時間オーバーが残念でしたが、そのこと自体も詩の持ち味になっているのが面白いと思いました。
最後の二文で他の方の作品も含む詩の世界から忙しない日常の世界に帰って来たようで、とてもいい締めになっていると感じました。