あくまの算数が机の上に広がっていたのでした、この楓は3,この山茶花は氷,染井吉野は梔,小楢は赤子の巣,悪魔の指先は細長く、灰褐色の枯れ枝のようで、爪は濁った真珠のように輝いておりました。悪魔の算数は昔からよく人間たちに伝えられてきた全ての陰謀でした。雨が降る事や、人が死ぬ事は同じ関係式の中に埋葬されていること、風邪を引く事と夫に打たれることには明確な因果があること。私は何も信じられることなどどこにもなく、落ち行く落ち葉と、積み上がる幸福の反比例について考える事ばかりやめませんでした。細長くて、短い手のわたくしの、頬を削る、左端の数式、この庭にはいくつかの私が泣いているんだ。聞こえているふりをしながら、今生まれようとしている、猫達が、悪魔の皮を被っているわけがない。落ち葉に隠れて様々な猫達が程よく私の窓に降り積もっていく、数式の庭には、たくさんの凍ったソテーとサタンがシチューされて、今このわたくしの右腕には病巣のあることだけを覚えていて
- 猫引
- 2019/06/25 (Tue) 19:20:13