病葉堆積
わくらばたいせき。
よろしくお願いします。

  • こうだたけみ
  • 2019/06/24 (Mon) 21:09:53
病葉堆積
実は昨晩、僕は死にました。
自傷行為や自殺願望の文ではありません。

実は昨晩、首だけ出して身体が熱されました。
砂風呂やエステサロンではありません。

初夢の話です。
しかし、現実よりも具体的に死にました。

身体はピザ炉釜型の原子炉の中にありました。
一瞬のうちに被ばくして消滅する身体は、
痛くありませんでした。

死ぬということは現世から消えることなのだなと
悟りました。
詩集の一冊も出すこともできなかったなと
思いました。

そして、僕は死にました。
怖くありませんでした。
悲しくありませんでした。

目が覚めたとき、あれ?と思いました。
夢だったとは思いませんでした。

病葉堆積(というのですね)ごと
無くなってしまった、
何処かシラけた
朝でした。

蒸し機は不可思議毎に湯気をたて(辞世の句の練習)
  • らどみ
  • 2019/06/25 (Tue) 00:19:26
病葉堆積
もう七ヶ月になろうか、今年の梅雨はなかなか明けないね、とベランダに置いたプランターのわくらばをむしりながらきみは言う朝、あんまりマイニチ雨が降るもんだから朝なのかそうでないのかベランダの外から見える光景からはわからなくなって、わくらばをむしるきみの背を司会にいれて定型的な朝御飯をつくるとき、つみあがったわくらばを入れたビニル袋もいくつ目になるだろうか、燃えるごみの日はいつだったっけ、こんな長雨では焼却炉の火も消えてしまってやしないだろうか、コンロのガスはかろうじて生きてて味噌汁をふっとうさせないようにしようね、わくらばをむしれるくらいまだ葉があるのってなんかすごくない?光合成を何ヵ月もお預けされているのにね、デフラグみたいだ、漠然とそう思ったらくちにしていたようで、最適化してあげよっか、ときまはむしったわくらばを手にしたままこちらを見もせず言った、叫びみたいに。
  • 生卵喰鳥
  • 2019/06/25 (Tue) 04:56:06
病葉堆積
遊びをせんとや生れけむ
けむけむ遷都のものがたり
たりたりたりぬかたりてるか
あまいみずを きよめたもう

こどもたちが むかしから伝わる唄でお手玉遊びをしている。
おとなたちは 同じ歌を労働歌として歌っている。
かれらは、誇り高きインシュリン族の民である。
かれらはランゲルハンス島で生まれてこのかた
常に降る蜜のような雨が止むのをみたことがない。
甘露なる川は 土壌を肥やしもするが腐らせもする。
川が清さを保っているのは
インシュリンの民が 雨を生成し世界を清めているからなのだ。
かれらの力で、いつもは 清く流れる河が
いちど 氾濫すると、土壌に病をもたらしながら 
激しく蛇行し荒れ狂い すべてを破壊し 
美しい自然体系はすっかり機能しなくなるのだ。

川が氾濫したあと 水位が下がると
おもいがけない歴史を垣間見ることがある。地層だ。
かつて海を悠々と泳いだ古代魚が 地層の中で生きている
恒星と通信していた植物の物語が 活きている
すべての歴史の上に 甘い雨は降り続け、浸食する。
そして甘露の雨がすべてを育んでいる。

インシュリンの民は 今日も甘すぎる雨を清め
今日も すべての生きとし生けるものの住処たるこの地を
神のように統治する都人のことを想うのであった



※冒頭の一行は、梁塵秘抄です。





  • るるりら
  • 2019/06/25 (Tue) 08:50:42
病葉堆積
あくまの算数が机の上に広がっていたのでした、この楓は3,この山茶花は氷,染井吉野は梔,小楢は赤子の巣,悪魔の指先は細長く、灰褐色の枯れ枝のようで、爪は濁った真珠のように輝いておりました。悪魔の算数は昔からよく人間たちに伝えられてきた全ての陰謀でした。雨が降る事や、人が死ぬ事は同じ関係式の中に埋葬されていること、風邪を引く事と夫に打たれることには明確な因果があること。私は何も信じられることなどどこにもなく、落ち行く落ち葉と、積み上がる幸福の反比例について考える事ばかりやめませんでした。細長くて、短い手のわたくしの、頬を削る、左端の数式、この庭にはいくつかの私が泣いているんだ。聞こえているふりをしながら、今生まれようとしている、猫達が、悪魔の皮を被っているわけがない。落ち葉に隠れて様々な猫達が程よく私の窓に降り積もっていく、数式の庭には、たくさんの凍ったソテーとサタンがシチューされて、今このわたくしの右腕には病巣のあることだけを覚えていて
  • 猫引
  • 2019/06/25 (Tue) 19:20:13
病葉堆積(投票対象外)



 っ
  黒の背景に白い文字の浮かぶサイトで
タイトルに溺れているこんなにもたくさん
の言の葉が降り積もっては小さく発光する
さまはいつだって完全なる健康体でいられ
ないからだわずかに発酵をシつづける生と


 の
  プロセスが青い光を放つと知ったのは
かなり前のことだけど誰かのリツイートで
久しぶりに見たしここへ報告する私には死
とは暗い緑色をしているという刷り込みが
あったとして緑が好きな理由にはなれない


 れ
  なかったことにする口約束の囚われの
身でいるのは私だけです物に罪はないから
捨てない捨てられないのなら言葉には罪が
ありますか捨て置かれた床に堆く積まれた
まま書類の間やノートの隅に落書かれた葉
  • こうだたけみ
  • 2019/06/25 (Tue) 19:52:19
病葉堆積(時間外)
灰の暮れ方に
軒下に立って霧雨をみる
くたし、くたし、と雨樋から音
そぼそぼと降るこまかなこぬかへ手をのばす
雨にぬれぼろぼろと
おのが手のくずれていくおぼろ

手のひらを分け
葉と広げれば、それは手のかたちの葉
くたし、くたし、と葉先から落ち土に吸われる水の玉
そのうち手首ごともげ落ちて
手は地面にしとりしとりと降り積もり
いくえにも折り重なれど我ひとり

腐葉土の奥
光をいとうしめりのくらがりの奥
葉脈のすじだけのこってちりあくた
くたし、くたし、と霧のむこうでつぶやくだれか
いつか出会ったはずのそのひとの
誘い声が立ちのぼり、けぶる
  • みずけー
  • URL
  • 2019/06/25 (Tue) 23:41:39

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