あなたや、あなたのあいするひとやわたしで、
身体をすこしづつ、入れ替えっこしたい。
わたしや、わたしのしらないだれかを想いながら、
いまあなたの手の絡むその中指だけは、
本当にわたし以外のだれかに触れていて
わたしがあなたと信じて噛んだあなたの足の薬指は、
しらない場所の味がした。
指折り、かぞえながら、
横にならんで次の日を待っている。
わたしだけがこんなことを知っていて、
知りながら回した腕が誰の物なのか、
わたしはしらない。
しらないまま今日も、
いつかあすだった、あさをむかえる
朝焼けに照らされたゴミ捨て場のよこに、
センダングサが伸びていて
あなたと、あなたのあいするひととわたしの、
ぶかっこうな唇が、となり合って咲いている。
わたしやだれかのキスを
いともかんたんに「好き」と置き換えてしまえるあなたと、
どうしたっていっしょに、枯れていくために。
- ゼンメツ
- 2019/10/04 (Fri) 22:20:18