台風
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  • ぎわら
  • 2019/10/11 (Fri) 22:49:08
台風
頼まれて、五年以上ぶりに取材をした。あれでよかったのかは原稿を書き上げてみるまでわからないけれど、とりあえずたのしかった。帰る途中で以前勤めていた東銀座を通ったので、途中下車して散歩しながら取材内容の振り返り。歌舞伎座や三越を横目に見ては昔みたいに丸の内まで歩く。会社のあったビルへ向かって曲がる角にローソンができて驚いたけれど、そこが昔なんだったかは思い出せない。初めてすあまを買って食べて感動した和菓子屋さんの耳が遠い店主は、今日はいくら呼んでも出てこなかった。陳列ケースにあっても買えないすあまの寂しさ。もう二十年近く改築中のままの東京駅。遠足帰りなのか改札を出たいのに、通勤客がひっきりなしに通るから動けないでいる黄色い帽子の長い列。合成音声の車内放送が明日の計画運休を息継ぎもなしに淡々と知らせて。スーパーにもコンビニにもパンと水だけが見当たらない。ここにもない!って若干うれしそうに声を上げる若い女とその連れ合いの男。そわそわするから意味もなくイライラするあの人、この人。そして私。これずっと言ってみたかったから言わせてくださいね。どうぞみなさんご安全に。生きてまたお会いしましょう。
  • こうだたけみ
  • 2019/10/12 (Sat) 00:58:41
台風


レゾナンスは後退していく
ひかり、となづけられた
とある道筋の途中
言葉少なく(あるいは むごんで
あしあとすら かき消す
その音をきいた


エンベロープ、
乾していた貫頭衣がまた濡れる
サスティン、遠のくほどにみちていくその
鼓動が、包み込むんだ
あしたは停電になるだろう
騒ぎ立てるSNSのノイズに
指で作った銃口をむける


頬に貼りついた髪を
うなじにそっとよせる
つめたさは、わたしからの距離
0には到底なれない体温の
あわれなリリースを吹く


「いま、つうかしました


纏う風よ
いつしか名をかえ
欠けた爪から零れだし
カナシミに濡れ膨らんだ
みちを洗い流しておくれ
淀んだ前傾姿勢でソレを語る老人の
未来はミライの似姿でもない


過ぎ去ったあと
痛みをとうめいな議論がみたしていく
それは破瓜の痛みににた
まっさらでなにもない
ただひとすじの
あおい、そら
ふきすさぶ風のなか
たったひとつだけ
いのったもの
  • 脈搏
  • 2019/10/12 (Sat) 02:11:03

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