マンションポエム
これでお願いしますー。
どしどしどうぞ。

  • みずけー
  • 2020/05/26 (Tue) 22:00:13
「マンションポエム」


今年の夏は入居者が多い


上の階は子連れらしく
まるで回遊魚のように
小さな足音が
延々止まらない


隣は若いやつで
流行りの歌が四六時中
かなりのボリュームで
聞こえてくる


向かいの年寄りは
ペット禁止を無視して
よく鳴く犬や猫を
何匹も飼っている


共同生活は忍耐だ
耳栓をして
知らぬふりをすれば
そこそこ快適には
暮らして行ける

そうは言っても
今年の夏は
例年に比べて
やはり煩い


耐えかねて
まずは上の階へ


おいあんた、毎日何時間も
子どもを走り回らせて
少しは近所迷惑ってもんを考えたらどうだ


しばらくして、隣の部屋へ


やい、にいちゃん
音楽聴きてえのはわかるが
常識ってもんをよく考えな


それから、向かいの部屋へ


おう、じいさん
ここはペット禁止だ
行政呼ばれたくなきゃ
その犬猫をどうにかしな


そして、マンションは静寂を取り戻す





ーーねえ奥さん知ってます?

あのマンションの噂
立地は良いし
家賃も安いし
築浅なのに
あんまり人が入らないでしょ?

それってあそこの
ちょうど真ん中にある部屋に
何かいるからって話らしいですよ

だってねその部屋の側の部屋だけ
人が住んでもすぐ出て行ってしまうんですから
理由はあんまり教えてもらえないけど

普通に生活してると
ある日突然床や壁から
足音が煩い
音楽が煩い
動物が煩い
っていう
誰かの声が

聞こえてくるん
ですって


もう何年も前から
きっと何かが
いるんですよ

あそこに





  • 愛萌
  • 2020/05/27 (Wed) 17:47:46
マンションポエム
ギブミーなチヨコレイトとろとろけて、
お役ごめーんな初夏のある日にポエミー
な駅のサイネージで胸打たれちゃって。
ズッキュンバッタンQならエヴァかな私
は野田かなのどかな陽気でにこにこして
いる詩にしているからいき(詩)ていら
れるポエム舐めーんな飴ちゃんいるかな
あまちゃん宮藤なカンクローからの勧進
帳「拙者親方と申すはお立ち会いのうち
にご存知のお方もござりましょうが…」
それは外郎! 売ってますここで打って
ます指で画面に文字が現れるフシギ浮い
てますビルの谷間から聳えるマンハッタ
ン似の摩天楼TOKIO。住めば、都。
  • こうだたけみ
  • 2020/05/27 (Wed) 20:44:50
マンションポエム(対象外)
101
一階の小さな店舗スペースでひとり
カフェをやっている
ラストオーダーまぎわにいつもやってくる男ひとり
チャイを頼み、あ、スパイス多めでといつもつけくわえる
窓ぎわに座り、ずっと表の通りを眺めている
閉店です、という私の声を聞いてから男は席を立つ
会計をしているといつも
真上の天井からドタドタと
子どもが二三人走り回って転げ回っているような音と振動が落ちてくる
男はびっくりしたように見上げ
元気ですね、といつも言う
おいしかったです
ありがとうございました、またのお越しを
それから私は店を閉める
真上の201はずいぶん長いこと空き室のままだ

202
うたたねしていたのかはっと目が覚める昼下がり
床に針でも落ちたのか、それとも
窓の向こうの校舎から遠く
あ、え、い、う、え、お、あ、お、といった発声練習や
ふぉ〜っという管楽器のロングトーンが聞こえてくる
ところによっては、外で声出しや音出しができないところもあるそうだが
ここらではそんなことおかまいなしにのんきに響かせている
うつらうつらしていると
突然歩く音と話し声が廊下の向こうから近づいてきて立ち止まり
鍵を取り出す様子
ガチャリ、いきなり玄関のドアを開けられる
ように感じるが、それはいつも隣の201のドア
空き物件の下見なのだろうが
数分もしないうちにヒーッと細長高い絹裂き声が聞こえドアが
ガッチャンバッターン、今度は乱雑に開け放たれ
悲鳴の余韻をのこしてひとりが全速力で走り去り
おっかしいなー、という不動産の男ののんびりとした声がそのあとで聞こえる
へんだな、洗面台の鏡はいつもきれいにしてるんだが
と言っているのもいつものこと

303
ここのところ水が多い
ふだんはくるぶしだったり
腰までくると今日は多いなあと思うのだが
さいきんは天井あたりまで
ぷかぷか浮いての息つぎも飽きてきたので
とぷり、と沈んで暮らす
水の部屋

404
お探しの部屋が見つかりません

505
スタジオを出る
そのまま同フロア内の自宅に帰宅
567号室
このマンションは五階だけ妙に部屋数が多い
599号室まであるらしいのだが
この階だけでいったい何人が住んでいるのだろうか
かといって朝のエレベーターが混雑するかというと
そんなわけでもない
長い内廊下を歩く
同じフロアの住人とおぼしき人とすれちがう
挨拶を交わすが
微妙に避けられている気がする
一時生産停止になった某ビールと同様の風評被害である
あのビールうまいんだけどな

606
窓が開き、カーテンがそよいでいるが
部屋には誰もいない
テーブルの上に小箱がひとつ置かれているが
中には誰もいない
クッションはくったりとへこみ
わずかに熱がのこっているようだが
室内には誰もいない
外からの風が奥の廊下に吹きぬけていくだけで
部屋には誰もいない

707
天井からにょにょき下りてくる根をほったらかしにしていたら
森になってしまった
葉は生い茂りー、花は咲き乱れー、鳥たちは歌いー、とかそういうの
これ幸いと森の図書館よろしく本を根棚につめこむ
総天然のおしゃれな本棚ーとるんるん踊る
が、気づいたときは湿気って黴びて苔むしていた
想定外である

808
ゴルの森に住まうものたちの美しい詩(うた)
今ここに昂(たか)らかに鳴り響き
祝福の鐘とともにそびえる有給(誤字)の棲(す)み家

909
屋上に九つ
組み上げられたカプセルルームから
ひとり飛び立ち
ふたり飛び立ち
三人飛び立ち
四人飛び立った
ひとり多かった
  • みずけー
  • 2020/05/27 (Wed) 21:57:21
マンションポエム(投票対象外)
修道女と魔術師の群れ
マンションの部屋と部屋の外を繋ぐ
共用廊下を行く
やがて燃え出す魔術の炎
魔炎を見た時から
マンションポエムを
私は書き出す
群れが遠巻きにそれを眺めているような気がした
  • ぎわら
  • 2020/05/28 (Thu) 01:49:03

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