私は悲しんでいます/ というお気持ち表明を/いつもしたがっている
こちらでお願いいたします。

お題の背景は先日お伝えしたとおりでして、なんの前触れもなく託された3行です。多分きっと本人も見に来ます。

お礼になるかわかりませんが投稿作にはすべて、後日私からもコメントを書き込ませていただけたらと思います。

ぜひよろしくお願いします!

  • みわ
  • 2020/08/08 (Sat) 17:47:47
私は悲しんでいます/ というお気持ち表明を/いつもしたがっている
亀には いつも泣いていてほしい
南の国の産みの苦しみに悶える 亀のように
重責を担いどうしようもない責め苦の涙を 流してほしい
泣いていて
ほしかった  らしい

亀太郎という名前のお爺ちゃんを知っている
戦争を知らずに育った私には 戦争はただただ恐ろしく
けれど 
うちの爺ちゃんは むかし、兵器をつくっていた
戦争をする人のすべてには
重責を担いどうしようもない責め苦の涙を 流してほしい
泣いていて
ほしかった らしい

爺ちゃんも 戦争に加担していて
私は、うちの爺ちゃんにも 戦争を悲しんでいてほしかったらしい
戦争のさなかにも 喜びは あったようだ
たとえば 良いものが 自分の技術でできたときは うれしくて
戦争を知らない孫に なんどもなんども 言って聞かせずには いられなかった

亀太郎爺ちゃんは いつだって 笑ってた
爺ちゃんは亀を甕の中で飼っていた
カメがカメを飼っていておもしろかろうと わらってた

あの亀だって
どう考えても 泣いていそうになかった
甲羅の中に でたりひっこんだりしながら
甲羅で 爺ちゃんの話を聞いて きっと笑ってた
  • るるりら
  • 2020/08/08 (Sat) 18:48:05
私は悲しんでいます/ というお気持ち表明を/いつもしたがっている
時計が壊れたみたいだから
しゅうりにださなくっちゃ

交わらない筈がないもの
重ならない筈がないもの

心臓を刻む秒針に
横隔膜を
ゆっくり上下させる意識は
こころの少し下のあたり

夕暮れが濃くなって
少し、おなかがすいたって

気づいた時に

わたしの
時計は
何度も、何度でも、今でも、今までも
いつも、いつでも
これからも、これまでも、それからも、それでも
重なっていた
  • 0
  • 2020/08/08 (Sat) 21:08:31
私は悲しんでいます/ というお気持ち表明を/いつもしたがっている
世界は悲しみで満たされる
完璧な欠乏は幸いなるかな
難しい事の分からない私に
お告げを授ける天使がいて
私の代わりに奇跡を見せる
本当はいつも泣きたかった
自分より不幸な迷える羊達
救えない程に泥まみれの魂
重なる事でしか見えない雲
もう良いって言って欲しい
もう前を向くのは止めろと
  • ネン
  • 2020/08/08 (Sat) 21:19:35
私は悲しんでいます/ というお気持ち表明を/いつもしたがっている
「この図書室には神様が住んでいます」
という噂が高校で流行っていたので、
図書委員の私は、誰もこない受付のカウンターでお気に入りの本を読みながら
神様がやってくるのを待っていた

((学校の階段の踊り場には鏡が置いてあって、
 階段を上ったり降りたりするときに自分の顔が見えるのが嫌いで、
 だから前髪を伸ばしていたのに、
 校則に違反しているからと風紀委員に捕まえられて
 次の休みの日に美容院で
 切り落とされた前髪は制服のポケットの中に忍ばせていた))

という思い出が、本を読んでいると噴き出すから
私は本を読んでいるようで、実際は自分と話すためにこのカウンターに座って
同じ本を読み続けているのだろうか

((貸出の履歴にあふれた100万部売れたほんの帯には、
 涙の文字が躍っていて、
 涙は舗装された表紙のプラスチックの表面をいくらなぞっても
 履歴が残らないから、
 ノドの厚みの部分や、ページをめくった最初の一文字目がしわくちゃになっていた
 涙はいつも乾いてしまうから
 昨日涙を流したって、明日元気な顔で登校してしまえば
 その悲しみは誰にも気づかれないだろう))

だから、この本の履歴を埋め尽くした私の名前がばれて
この本は塩水臭い事が誰かにばれてしまうことだけは避けなければならなかった

でも、そういうことは
ここに住んでいる図書室の神様にはバレバレなんでしょう?
と頭の中で問いただしてみても、
図書室の開いたドアから
生暖かい夏の風が舞い込んでくるばかりだ

((夕立が激しくて、学校から出れなくなった生徒達が
 図書室に逃げ込んできて
 定期テストの勉強をしている傍ら
 カウンターで単語帳を見るわけでも
 本を読むわけでもなく
 物思いにふけっている訳でもなく
 具体的な何かしらの目的に向かって考えている訳ではないのに
 時間だけが過ぎて行って、
 削られた前髪のせいで、この部屋に入って来る人間の表情がよく見えてしまう事だけがとても怖くて
 怖がらせてしまう事がいやで、常にうつむいて本を読むふりをしていた
 ああ、早くここから誰もいなくなってほしいと
 神様に願うことで
 ここだけが私の世界であるように
 となぜ、いつの間にそんな思考になってしまったんだろう
 小学生だった時は別にそんな一人でいることが好きでもなかったのに、
 いつの間にかここ以外の場所で生きるという事がどうでもいいと


))))


下校時刻になり、消灯された廊下を
ふらふらになりながら歩いて、
階段を降りると、短くなった前髪が穴の開いたポケットから床に落ちて散らばっていく
校内放送のアナウンスが流れ始め、
鈴の音が聞こえる
錫杖を一定のリズムで突きながら、近づいてくる寒気で
体が動かなくなって、
階段の3段目まで降りたところでへたり込んでしまう
鏡に映った自分の顔の下にある反転した右肩に白い手の形をした靄が置かれ
耳元に冷たい息がかかると同時にやかましいアブラゼミの鳴き声が校内を瞬時に埋め尽くしていく

靄は肩からゆっくりとなめるように私の右腕を滑って手をつかみ、引き揚げようとする
力のない手に導かれるように私は立ち上がり手にもっていた通学カバンを左手から剥がしてしまう
カバンが階段の踊り場に落ち、
中に入っていた本が散らばっていく

本の表紙はすべて同じで、汚れ方も同じで、
表紙に書かれた女の表情も同じだった
読み手の私を同じ角度で、同じ色素で、同じ涙の帯で見つめている

女の顔は合わせ鏡のように私を見つめている
音叉のような映像を突き放すように、
手に導かれて私は元居た図書室に向かっていく

図書室を出るときに抱えていた思考は
後ずさっていき、軽くなったからだは
歩くという行為を意識しない

胸ポケットに忍ばせていた紅桜が原料の口紅を
乾いた乱暴に塗りつけ、
膝下まで伸びていたスカートを極限まで巻き上げる
ゴムとヘアピンで巻き上げていた髪を振りほどき、
宙に舞う乱れ髪は私の爪を細く長く伸ばしていった

馴染みのカウンターに座りこみ、
白紙のページのみで出来た本を開く
伸びた爪で右腕の皮膚を切り裂いて作った赤いインクで
書きつける言葉は
人の言葉の形をしていなかった
しかし私には読めて私以外には読めない
これが今の私の気持ちだからで
これは唯一無二だから誰にもわかるはずがない
という傲慢を







いつだって夢想している
私の夢は
司書の先生に叩き起こされて
ほら、
こうやって終わってしまうんだ

笑顔を張り付けているうちに
終わってしまった説教

学校の帰り道
コンビニで思わず買った
ファミチキをほおばりながら、
夕焼けが落ちていく

という、ああ、わかりやすい悲しみで
すべてが終わってしまえばいいのに

タングステンで出来た雨粒が
肌を滑り落ちていく時に宝石に代わるようなたとえ話で、
世界の夕焼けが凍り付けばいいのに
  • たばすこ
  • 2020/08/08 (Sat) 22:17:53
私は悲しんでいます/ というお気持ち表明を/いつもしたがっている
ご時世理由に引きこもり
机上に描く悲喜こもごも
蒼い馬にこの身を預けて
たゆたいながら沈まずに

時に追い残された人たち
無名になってしまっても
何百年もそれよりも永く
文字だけは残ってほしい

室町というルネッサンス
Xは震えているXは笑っている
「フラワ枯れたと誰か笑ふ」
誰も笑ってなんかいやしません

戦いに明け暮れた地獄のさなか
探し出した答えは思考停止事項
それが私とその人たちとの約束
石の花束とともに
  • らどみ
  • 2020/08/09 (Sun) 08:53:41
Re: 私は悲しんでいます/ というお気持ち表明を/いつもしたがっている
私は悲しんでいます/というお気持ち表明を/いつもしたがっている/からだどこまでいっても独りなのはきらいなの/あ、いたいとか痛がるのは勝手だけどキズなんかないのにたまに裏返して/きっと見えないものってやつに怯えているのねアナタもワタシも/とかなんかわかったようなこと言っていれば思いがけず支持されたりもして/もれなくわかったつもり人間を量産できるね/ワタシカナシイ/かな、視差はわずかでもこんな私かわいいかわいそうで/ほらいいこいいこ、いい子でいるからお願い痛くしないでごめんなさい/それでも許されたのは謝罪という行為だけだったから/かな、シんではいます心の中でだけいまもあなたを思い出すと。

  • こうだたけみ
  • 2020/08/09 (Sun) 15:08:36
私は悲しんでいます/ というお気持ち表明を/いつもしたがっている(投票対象外)
大きな看板を持って立ってみたい
から
コピー用紙のハイホワイトより眩しくて
なおかつ暗い無尽蔵な白
の中で線を走らせる

自分の身長や肩幅よりも大きな
無骨な木材を支えながら
ぽつりと立っている人が現れる

HELP ME ちがう
HUG ME ちがう
KISS ME ちがう
LOVE ME そうかもしれない
けど
KILL ME ときどき、そうおもう

制服のワイシャツから透けた背中を目で追った日の気持ち
または
眠れずにリビングにいたらぱちりと暗くなり
電気代がもったいないでしょうと
言われたあと

大丈夫
どんな人も行き交う商店街を描きいれる

無造作ウェーブ 歩く スマートフォン
スピーカー 眼鏡 マスク ポケットの手
音楽プレイヤー ブレザー エナメルバッグ
ロングスカート スニーカー 蝶結び
それから
革靴 リクルートスーツ ハッピ 当選会
おじさん おばあさん ベビーカー を描く

笑い声 話し声 呼び合う声
が聞こえるように
小さな女の子の目を閉じて
すこしぷにっとした唇をあげた
時間は止まっているのだけど
風に揺れて風が揺れる
風邪を引く姿まで想像できるように
洋服にしわを

看板を握る手の横を
たくさんの人が通り過ぎる
のではなく
この
ひとりの人間が
通り過ぎていくので
ありますように
あなたたちのそばを



お気持ち表明させていただきます、と言って
厳かに懐から取り出したる文を
丁寧に読み上げたら
丁寧に読み上げたら

ストライキと称して夕飯に
スナック菓子を渡された幼い日より
少しはさみしくなくならないか

以上です。ありがとうございました。

そう言ったらみんな拍手してくれないか

ずっと真っ白なままの看板には
BE KIND
と書き足すことにした
悲しそうな顔を微笑みになおした
それがいいとおもった
優しくあれと
言っていた



願いごとは願いごとのままずっと眠っていた
そのことに気がつく頃にはもう
ときどき目をこすって起きてくるようになり
空気に触れて初めて泣いた

おそろしいところへの旅がはじまる
複雑な光や視線を浴び
止まっていた時の流れも容赦がなくなる
重たい看板を抱えながら

泣きつかれ寝息を立てている
上下する小さな胸と
あどけない顔
あたたかい
頬に触れた

その一瞬から
体温があることが
どれだけあたりまえのことか
ぜんぶ忘れてしまい
悲しみや不安や恐怖は
あってあたりまえなのだといまさら
だって生まれた頃のことは
覚えていなかったから
それを守ろうと思ったことはなかったから

少しずつ窮屈を逃れて
ようやくここにたどりついて
よく泣くこの子の
声に応えるのが嬉しい

その先にある面白いこと 楽しいこと
あふれるような気持ちをぜんぶ
教えてあげる

かなしい
これからもずっと
  • みわ
  • 2020/08/09 (Sun) 18:21:53

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