しずく
お題は
しずく です。すこし早いですがメリークリスマスしずく。

  • みうらのばでぃすきー
  • 2020/12/18 (Fri) 20:23:06
しずく
軽くもたげただけで
空は速さを得る
私の見た透明な天球は
乾いた誰かの手で
振り払われる

ガラス越しの表通りを
傘を広げる往来を
安心して眺めていられたのは
受け止めるということに対して
なにをすることも
必要なかったからかも

雲の切れ間を飛び出した時に
こえのように伝わって
枝毛の先に溜まり
葉脈をなぞって
アスファルトに斑点を作る
ことばのように
眺めている
  • たかは
  • 2020/12/19 (Sat) 10:02:48
しずく
 し

詩を書きはじめるようになったのは大学一年生の時だけど
親族の中で初めて死が訪れたのは父方の祖父で
ぼくは大学三年生の時
冬だった
葬式というものに初めて参列するために
父の生まれた地でもある富山に向かった
祖父母の家に行くのは決まって夏だったから
道路に埋もれたスプリンクラーが作動しているのを見るのも
初めてだった
初めてだったから
祖父母の家に着いた時に
いつものようにインターホンを鳴らしたら
家族に怒られた
そして
いつものように祖父母が出迎える前に
家にあがった
いつもどおり
肥えている祖父が横になっていた
声をかけても返事をしないのも
初めてだった
父親が
泣き崩れたのも
初めてだった
だって
それは全て
初めてだったから
いつもどおりにするしかなかった
ぼくはこれらのことを
詩に書かなかった

けなかったっちゃ

 ず

絵が描けない
いや、描けるんだけど
その絵をもって
誰かに何かを伝えることができない
小学生の時
「うたをテーマにして、絵を描いてください」
という課題が出た
うたと絵は違うよ
うたはうただよ
絵は絵だよ
うたはうたのままでもいいんじゃないの
怒られるのがいやだから
とりあえず絵を描いた
大人ぶったぼくは
「荒城の月」といううたをもとに
絵を描いた
盛り上がった土
クッパ城みたいな城
青黒い空
黄色い歪な満月
を並べた
先生は意地悪だから
一人一人の絵を紹介して
先生が指名した人が
その絵に対して感想を言うことになった
ぼくの絵
三色ぐらいしか使われていない絵
「いいとおもいます」
とか言われた気がする
その後
みんなの絵は数日間教室の壁に貼られた
ぼくの絵は
実に平面的だった
そのまま
壁になってしまえばよかったのにな

 く

奥の細道の終点は
岐阜県大垣市
ぼくが訪れていない都道府県は残り7つ
40か所目に訪れたのが
岐阜県だった
友人らと3人で
令和元年5月1日
岐阜県に降り立った
世の中は
ゴールデンウイーク真っ最中で
何とか取れたホテルの入り口には
令和
の文字が書かれた
書が置かれていた
旅先では
場所にならって
歩くが吉
友人らは
金津園に向かった
その間
ぼくは歩いて歩いて
長良川から染み出た水で育った地から
長良川の水を足にしみこませている
合流したぼくらは
岐阜城にむかった
その間
そう
かつてと今との間に
数多の水が
この地にしみいり
数多の水が
この地でかれ
夢もまた
枯野を駆け巡った
ぼくは
旅に病んでいるから
足に
水をしみこませる
あと7つの地の水をしみこませる頃には
かの地の水が枯れているだろう
だから
歩く
芭蕉のように

 しずく

し の しずく
ず の しずく
く の しずく
しずく
  の
    しずく
おちたら
いっしょだね
受精した
しずく の ぼく
  • なかたつ
  • 2020/12/19 (Sat) 19:18:31
しずく
私の家にはわんちゃんが生きていて
お皿の中には舐めつくしたチューイングボーンが
転がっている

お世話をすることだけを考えていきてきました
と書いてある遺書が置かれていて、
遺書は見栄えが悪いから
出来の悪いラブレターに変えてしまった

かなしいできごとは
どこにむかっていくのかというと
抜け殻のようにそこにあるだけで
今日も夜遅くに家を出て
ディスコに向かえばよかったのかなと

口笛を吹きながら
空っぽのトートバックの中に
100円の入った財布を敷き詰めて
作詞作曲した歌を
かわいらしいCDに詰め込んで
ギターを片手に
失恋の歌を歌うしかないのか

とかなんとか、


と語り掛けるあなたのいなくなった
ソファーの面積は
どこにもいらないから

この部屋を今すぐにでも飛び出して
メンヘラってわたしを規定したい
飼われるだけの犬になれたら
自分が飼いたくて飼い始めたワンちゃんに失礼なら
いっそ無機物に囲まれて
無機物を舐める事で
愛情を感じ取れたらいいのにね

と呟いたら涙が出てきて
涙は塩の味がしたから
コンソメスープに混ぜて食べてしまおうね

誰もいない映画館に流れる映画を
最後まで眺める事で
生きている事や
最後まで見捨てない事の大切さを
矜持として保てるなら
安い買い物だわ

と女言葉を
既に死にゆく末尾の切れ端を

先端にかざして
今日のわたしから
明日のわたしへ

雨が降り注ぎます
自分の大切な心のピースがかけてしまわないように
いや、心のパースがくるってしまわないように
狂い始めたら歌を歌って
前を向いて歩き進めるだけ

しつこい恋愛の歌より
ピタゴラスイッチの方がかわいいよ

ブラウン管テレビから
もれだした 
渇いた空気を吸い込んで
ため息の色はどこまでも透き通っているのに
かなしんでいるのね
と言われてしまうなら

そう読んでください
私の名前はしずく
しずくちゃんです

いたいけな存在なので、
君はわんちゃん
わたしはあなたに構わない

それで終わりになるから
すべていいでしょ?
  • 百均
  • 2020/12/19 (Sat) 19:19:31
しずく
額に汗、みずから肌の上こぼれ落ちつく先の
杖が字面を叩くタクラマカン砂漠へと帰る人
が好きだった長いまつ毛のラクダの目こぼし
の吸い込まれ消える砂へつづる文字など流れ
よと叫ぶコレハ呪咀アレハ祈リと一つひとつ
確かめては下す白と黒にまみれすでに膝まで
も灰に埋もれているのにまだ助かろうとする
まだ救われようとする諦めの悪い手を伸ばし
干上がるままにこぼすのをみずにかしずく。
  • こうだたけみ
  • 2020/12/19 (Sat) 19:37:29
しずく(時間外対象外)

なるむまなかびとんげるんが
が走馬燈していて
ぼくの頭上の星々が
ちくらまげちまな
している
遅くとも
明日の朝には
産まれる
しずくちゃんは
とてもキレた笑い方で
産まれてくる妹も
同じくらいだよと
モルガナ島の方からの
旅人に
ねみつば を配る
迷わずに産まれたらいいねと
答える旅人に
しずくちゃんは
本当にキレてしまった
くなみちぬくるんがだも 
ぬくちまか と
泣いているしずくちゃん
ズルラ浜で
ちくらまげちまな した
  • みうらのばでぃすきー
  • 2020/12/19 (Sat) 20:27:47

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