即興ゴルコンダ(仮) 622636

【ルール】 1 出題されてから24時間以内に詩を投稿。 2 投稿締切から24時間以内に一人一票投票(投稿者以外も投稿可)。 3 最多得票者が一週間以内に次のお題を出題。   ※得票数が同じ場合は、もらったコメント数の多い人、それも同じ場合は投稿時間の早い人が優勝。 4 はじめにもどる。


海岸林用語集のために

1:イヤ子 :

2023/06/24 (Sat) 10:43:01

どなたのご参加もおまちしています。
2:Inkweaver :

2023/06/24 (Sat) 20:50:28

海岸林用語集のために

海岸林に立ち込める風
心地よい匂いが漂う
その中で私は思い出す
あなたへの愛の深さを

用語集のページめくる手に
愛の言葉が浮かび上がる
潮騒が語る思い出の瞬間
心に刻まれた幸せな時

第一章は「絆」という言葉
私たちの結ばれた心
海岸林が見守る愛の象徴
揺るぎない絆が続く限り

第二章は「温もり」という言葉
あなたの手が私を包む
海風とともに感じる温かさ
心の中に永遠に残るでしょう

第三章は「共有」という言葉
海岸林の美しさを分かち合う
笑い声と歩調が重なり合い
幸せな時間が広がる

第四章は「永遠」という言葉
海岸林の時を超えた誓い
愛の枝葉が絡み合いながら
私たちの愛は続くのです

海岸林用語集は
愛の詩となって溢れる
あなたとの絆を讃えながら
幸せな愛の歌を奏でる
3:A :

2023/06/25 (Sun) 05:48:14

「海へ行きたいか、なんてわかったことがありますか?」少女がたずねた。わたしはなにもこたえなかった。

「岸へずっと続いていきます、たましいの緒と呼ばれているものなんです」図に書いてすごく丁寧に彼女は教えてくれたが、実際のところ、関心するふうな紳士ぶりをみせたもののヒェンには何も見えないし、皆目見当がつかない。

「木々がこのあたりの海を侵食しているのです。けれども、ひとはそれを「鎮る(まもる」という字で隠しつねに胡麻化している!」字は、衛となり、護となり、トゥックルランぎのようにかわるがわるするためになり損なってしまう。ことばのゆまりで起こるあれだ。

「用事」とは何かは尋ねねなかった。しばらく額を隠していると、その場にとどまれない彼女らはまままばたきもせせずにまた次の腰かけへと向かうのであった。
語るべき言葉がない
集うべき場所はない
のりものがわたしのまえをかすめる。少女はくやしそうに土に何かを彫り込んでいる
たたしかにあった
めざすものわあった
にびいろの弾丸、少女の目はくりぬかれていた。第三の目は輝いて。自然はままもられている。
公園で一人待つはずが、目が覚めたのが二万年後の晩酌だった
4: :

2023/06/25 (Sun) 23:44:22

草と木の違いなんて大きさの違いでしかない
林と森の違いなんて大きさの違いでしかない
人が言葉を作るから
草は草になり 木は木になる
とはいえただ一本の木は決して林ではない
人が一人では人間になれないように
平行線上の人同士は決して交わらないから
海岸線上に木を植えなければならない

いつも月がまわっているから
いつも海には風が吹いている
風が吹けば桶屋が儲かっても
バタフライエフェクトは観測できず
砂粒をいくら並べても
恒河沙は決して数えられないから
海岸線に木を並べている

もしも世界が水に沈んだら
方舟に乗れたただ一人しか生き残れない
一人では言葉を伝えられないから
海岸に林を作り続けよう
5:ぎわら :

2023/06/27 (Tue) 05:03:11

湾岸林用語集を読んで居た
海岸でリイ君が
港の差を難じ始めた
港の差から港の差へと
途切れることなく
湾岸林用語集を読んで居た
私の意識を
港の差の意識へと変えて行く
リイ君のその言動
その振る舞い
私はその姿を
モズがニエを木に挿して
じっくり食べるやり方に
似て居ると思った
6:まいきー :

2023/06/27 (Tue) 16:15:41

ザワワザワワと 潮騒と
林を抜ける 風の音
ジリリジリリと 照り付ける
午後の日差しで 灼ける肌 
ユララユララと 陽炎が
白い砂上で 踊ってる

あの林の名は 何と言っただろう
砂浜に抜ける砂利道の
両側にある あの林

あの林の名が 思い出せない
海岸林用語集を調べてみても
載ってはいない あの林

【潮間帯】
 それは満潮と引潮の間
 それは海と陸のハザマ
 そこでしか生きられない
 生物が実は存在している

【汽水域】
 それは海水と淡水の間
 それは海と河のハザマ
 そこでしか生きられない
 生物が実は存在している

【海岸漂着物】
 それは価値とゴミの間
 それは命と塵のハザマ
 そこでしか生きられない
 生物が実は存在している

どんな名前だっただろうか
防砂の為の人工林ではない
自然に出来た あの林
砂浜と人里のハザマにある あの林
そこでしか生きられない
生物が実は存在している

だから

誰かどうか あの林の名を
探しあてて欲しいのです
海岸林用語集の一項に
載せてあげる そのために


何かと何かのハザマでしか
生きていけないモノたちに
惹きつけられるワタクシは
人の群れと個人の間でしか
生きていけない中途半端な
生と死のハザマで踊ってる
カゲロウのようなモノです
 
 
 
7:こうだたけみ :

2023/06/27 (Tue) 19:08:02

波打ち際を歩いた
花びら散らしながら

夕日に向かって
光の道ができて
穴の開いた貝殻を
いくつか拾う

ビーズと共に繋ぐ
忘れたことも
覚えていることも
丁寧に
時々はぞんざいに
手繰り寄せる
針のないテグスを
8:博喜 :

2023/06/28 (Wed) 19:44:47

ああ松島や松島や
松を知らない作家もいる

手遅れだ手遅れだ
哲学者の往復書簡

刻みつける言葉
詩人の視点

ポエムが蔑ろにされる時代
だからこその用語集

なにか言葉をひとつ林に返したい。
9:愛萌 :

2023/06/29 (Thu) 01:45:28




安定帯から運ばれてくる
薔薇に似たハマナスの香り
海の森のそばでは
炎天下の日にも
涼やかな風が吹く


花崗岩が作り出す美しい砂浜は
訪れる全ての生き物を癒し
季節風に煽られて
羽を休めるコガネムシも
思わず飛び立つのを躊躇う


サンゴ礁が歌っている
人の耳には届かないその唄は
隠樹たちの作る優しい日陰で
佇む者の眠りを誘い

もう一度その場所へ
戻ってくる誰かを待っている


あの日失った全てのものが
時間をかけて再生していく
その過程の全てを知ることは
できないけれど


足元を覆う
チガヤの草むらにすら
僕たちを守る力があることを
あなたは知っているだろうか


凄まじいエネルギーに
薙ぎ倒され飲み込まれた樹々も
流木となりいつかまた
あの砂浜へたどり着く

そのとき、彼らは生い茂る
生まれ変わった海の森を
再び見ることができるだろう


そうやって僕たちは
未来を生きていく



10:イヤ子 :

2023/07/02 (Sun) 22:14:14

こうだたけみさんへ

>ビーズと共に繋ぐ
>忘れたことも
>覚えていることも

「覚えていること」を「繋ぐ」のはレトリックとしての綺麗な比喩ですが、ここに「忘れたこと」も「繋ぐ」というのが、単なるレトリックを超えた想いをこの詩に与えているように思います。忘れてしまったけれど大切だったはずの過去、きっと私にもあるはず。それをビーズのように手にとって眺めることができたら、なんて素敵なことだろう。それとも切ないことかな。

>針のないテグスを

この終わりの一句が詩をよく引き締めていると感じます。テグスってことは釣りのことかな? でも針がないから、その先にはなにも引っかかってはいない。それでも手繰り寄せずにいられないことが人生にはたくさんありますね。必要な言葉と必要な感慨だけを庭石のように置いていく、端正にまとめられた構成が美しいです。ご投稿ありがとうございました。
11:イヤ子 :

2023/07/02 (Sun) 22:40:54

Aさんへ

純粋に言葉の流れに味わいがあって、この作品の前段にあったはずのお話、この作品の後段に置かれるはずの続き、どれだけでも読んでみたいような気持ちになりました。今回はかなり崩して書いておられるけれど、たぶん散文が上手い方ですよね。それはここを読めば伝わります。

>「岸へずっと続いていきます、たましいの緒と呼ばれているものなんです」図に書いてすごく丁寧に彼女は教えてくれたが、実際のところ、関心するふうな紳士ぶりをみせたもののヒェンには何も見えないし、皆目見当がつかない。

ことばのゆまりについて語るなら、海岸林はもちろん自然にできたものもあるでしょうが、その性質から鑑みて、人の手によって目的的に植樹されたものも多くあると思います。そうすると必然として、海岸林においては人と林が、自然ではなく、むしろ歴史においてこそ繋がっている。鎮守の森、という言葉があるように、トゥックルランぎのようにかわるがわるすることが、ここではただ保護—被保護という関係にとどまらず、むしろ守ることで守られている、共依存的関係となっていることも指摘しておかねばなりませんね。ですから私はこの少女、海岸林の代弁者として読みました。

冗談はさておき、あなたが即興的に書いた計画的な詩を(あるいは計画的に書いた即興詩を)読んでみたいものです。つまり筋書きを用意しておいたり、よい詩句を心にメモしておいたり、そういった準備を済ませた上で、息を止めて天啓的に発作的に一気に書き上げたような作品を。

あるいはすでにどこかで読んでいるかもしれませんね。

ご投稿ありがとうございました。
12:イヤ子 :

2023/07/02 (Sun) 23:35:25

まいきーさんへ

言葉をタイトルにうまく絡め、しかも「ハザマ」という一貫したテーマで書き上げた構成力、見習いたいです。
私は海岸が結構好きで、綺麗な石やシーグラスを拾いながらときどき散歩しています。
そんな値もつかない、使い道もないものを拾ってどうするんだという感じですが、なんでしょうね、海岸にあるいろんな「ハザマ」に、そうやって触れることで私は安心しているのかも。

海岸はいろいろなものを受け入れてくれます。いろいろなものがそこから出航し、いろいろなものがそこへ漂着します。
肉体的にも社会的にも曖昧な存在である私でも、海岸に佇んでいると風景に溶け込んでそこに自然と存在できるような気がします。

読み返して今気づきましたが、賛美歌なのですね、この詩。
林の名前、思い出せるといいですね。
ご投稿ありがとうございました。

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