1300人のツアーコンダクターが居ると言われる
南洋の島に誘われ
何人かで冒険に行くことになった
丁度兄が死んだぐらいの頃で
バロウズ冒険店で
しっかり装備を買い込んで
冒険評論家の糸公心体さんにも
付いて来てもらって
万全を期した
ずっしりと思いリュックサック
武田信玄の末裔を名乗る御屋形様川子
他に冒険フリーク2,3人と私が
冒険の主体だ
糸公さんは黒子に徹すると宣言して居る
現地の雰囲気にのまれない様に
我々は最高性能のノイズキャンセルを備えた
最新式のイヤフォンを装着して
現地に着いた
糸公さんが上陸地点で神事を行ってから
我々も意気揚々として
島内へ向かう
現地の人が案内してくれた
ツアーコンダクターに案内してもらう為には
お金を払うだけではダメで
気心が知れていないと
ダメなのだそうだ
私は少しがっかりした
1300人のツアーコンダクターに惹かれて
この島にやって来たのに
どやら核心部分には触れずじまいで
この旅は終わりそうだ
我々はイヤフォンを外した
現地に変な雰囲気はなく
大過なくツアーを楽しめそうで
冒険的な覚悟の我々は
滑稽だなと自嘲した
捨てられたイヤフォンはノイズキャンセル機能を
喪失して
大地に眠っている
- ぎわら
- 2023/05/07 (Sun) 15:18:18