皆さん投稿ありがとうございました!
どれも楽しく読ませていただきました。
以下、私個人の拙い感想+どのように読んだかを述べます。
【Aさん】
感想:
投稿までのスピード感から内容まですごいと思いました。
表にない社会や世界の一部は、不明な意図が支配しているのかもしれない。
↓どう読んだか
タイトル字幕に環境音から会話へと開けていく映画であるかのような冒頭の途中で、ゲームステータスのような概念が乱入してきたり、そのうえでそういった知識をもとに読み進めると裏切られる内容の会話が進行していたりしますが、テーマそのものはお題から逸脱せずダークに整えてある丁寧さを感じました。怪物とこどもの共通点に愚と無知を見出して、いたずらはナンセンスへと置き換えて書かれているというふうに理解しています。
ただ途中まで単なるナンセンスに見える要素も、詩の中で次第にセンスを形成して完結する仕掛けがなされていると思います。バカ騒ぎや迷惑とは違う、純粋に意図的な、つまり造られた愚と無知への恐怖、とでもいうべき感情をそれによって煽られている感じがしました。後半の語りにさえ、こどものようにたどたどしい構造の文を織り交ぜてあることが、上記に説得力を持たせているのかもしれません。
単なる死体(ナンセンスや修辞技法)かと思ったら、実はゾンビ(愚や無知を表している)であり、バイオテロ計画が進行中(愚や無知を強制する存在)で、語り手はすでに感染(文の崩壊)、のような構造だと思って読むことができて、面白かったです。
他に気づいたこと:
・右と石、といった詩ならではの遊び
・三連目の怒ったりせず泣くしかない「おかあさん」「おばあさん」、四連目の言えない労働を強制される「お父さん」の類似と対比
・なぜ二連目まで映像的な表現であって、途中で切り替わったのだろう?
【白さん】
感想:
ただ一つの思いとは、憎しみや恨みなのか、存在したいという欲求なのか、それとも。投稿の中でいちばんホラーでした。
↓どう読んだか
この詩の不気味さは、たとえば駅や学校が深夜になって誰もいない状態になると恐ろしく感じられるのと同じなのだと思います。怪物ではなくてハロウィンそのものがもっと不気味になるのは目から鱗です。
最初から最後まで、長い時間の流れを感じさせるように工夫されていると感じます。具体的なできごとは何一つ起こらず、リズムを生むような明確な動きや場面が設けられていない。次のハロウィンを迎えるまでどこにも逃げ場がないような、いい意味で不快な気持ちにさせられました。
途中でこちらにもナンセンス文学の要素(不思議の国のアリスのパロディ)が挿入されていましたがそこから、どこか破滅的な、ただ一つの思いに縛られているという怪物の人格めいたものへの感情移入が始まるようになっているのも美しいところです。
お茶を巡って無音、色、香り、味と五感をなぞっていくあたりで、最後だけ「何を溶かしていくのだろうか」となんとなくお茶の温度を感じさせる描写にとどまっていて、触覚だけが明確にないことも不気味さにつながっていると思います。
最後は、さまざまな怪物なるものがとろけて一つになっていて、崩壊を恐れながら期待もしているということが、欠陥を抱えたかなしい生きものというニュアンスの怪物にも重なって見えました。もう怪物が形を保てないのは、ハロウィンに本来あったはずの恐怖は現在、風前の灯火だからなのでしょうか。
【こうだたけみさん】
感想:
ご機嫌なアニメーションのような詩といいますか、ピクリとも動かない文字だけの作品でも、軽妙な躍動感が確かにあるというのは不思議なものです。
私は触覚のついている影みたいな不定形生物を思い浮かべました。
↓どう読んだか
あまり改まって力んだ読解をすべきような詩ではないかとも思いますが、前半のお二人のおそろしい雰囲気と反対に、かわいらしく天真爛漫な詩でした。
筆者のお人柄が反映されている部分もあるでしょうか。
詩としての、というより小悪魔的な謎生物がしている行為としての言葉遊び、に近い受け取り方をしました。人間界を好奇の目で見ながら排水溝を探検していそうです。
余談ですが、この詩を音読するとしたら「ゑゑゑゑゑ」をどう読むかは議論の余地がありそうですね。
【まいきーさん】
感想:
投稿作の中でいちばん、怪物の姿に人間味があってユーモラスでした。
最近はナマハゲさんも大変です。
私は一番好きになったのでこちらに一票を。
↓どう読んだか
気になったので改めて調べたのですが、実際のナマハゲは神か神の使いだそうで、悪いことは許さないぞと子供たちを脅かすだけだそうです。もともと家の厄を払ったり健康や豊作を祈願する儀式だったのを、子を持つ大人たちが結託して子供のしつけに使うようになったとか。(ナマハゲに子供のした悪さを報告しておいて、神通力で子供のウソを見抜いたかのように叱ってもらう、冬に仕事ができない父親がナマハゲにうまく対応するところを見せて威厳を回復する、といった具合で。)
最初はさらっと読んでしまいましたが、そういったことを踏まえて読んでみると、なおさら可笑しみが増しますね。
ナマハゲはあんまり感謝してもらえる場所がなくなってきてしまって、きっと町内会でも居場所がなく、うわさを聞きつけ血迷ってハロウィンをあてにアメリカの文化が流行っているような今どきのどこかへやってきたわけですが間に合わず。
帰れないらしいですが、どうやってやってきたんでしょうか。ハロウィンに間に合わなかったということは、きっと来るときも包丁のせいで公共の交通手段は使えなかったのです。どこかで利用を断られ、しょげながらも山の神なのでなんとか歩いてきたのか。
そして今度はお正月に間に合うのか? 帰れないと、本番を逃してしまいますから本末転倒です。頑張ってほしい。
それにナマハゲ業に間接的に関係があるのか、きりたんぽ用の米の価格も気になるようで悩みの種が尽きない様子。お米農家も減ってきていて大変ですが、秋田であきたこまちのきりたんぽにありつけるといいですね。
- はさみ
- 2024/11/24 (Sun) 22:40:55